活動を広めるため、岩田学園ニューインターナショナルスクールオブジャパンなどにも足を運んでいる。そのほか、今後コラボレーションできそうな企業や団体とも面会するという。

 自身の家族や友人たちも被災したカルマは、さまざまな苦労を経験しながらも、やはり「母国の知っている人に喜んでもらえているのがうれしい」と語った。ディルラボもまた、遠く離れたネパールの地に自分たちの活動が影響を与えていることを誇らしく思っているようだ。CASやプロジェクトウィークについても、このように語っている。「こうして課題の種みたいなものを見つけることは、すごく大事なことだと感じています。みんなが考えもしなかったことに対して実際にアクションを起こし、それが形になっているということに、すごく充足感を感じています」。

学校生活にも課題はある

 CASで持ち上がった課題は、それぞれがクラスでプレゼンテーションを行い、最終的には生徒たちの投票によって8つのプロジェクトに絞られている。その内容はさまざまだ。「プロジェクト・ネパール」のような世界的な規模のものもあれば、ひるがえって自分たちのごく身近な課題に焦点を当てたものもある。

 「PEAK」と名付けられたプロジェクトは、ISAKのコミュニティメンバーに健康的なクオリティ・オブ・ライフを維持してもらうための活動を行なっている。目下、最終的な目標はPEAKのプログラムをISAKの教育の一部として取り入れてもらい、体育の授業やスポーツアクティビティーを企画することだという。

 このプロジェクトの発案者は、台湾出身の男子生徒トーマスである。ISAKでは、授業の課題も多い上、それぞれがプロジェクトを抱えており、年度末は皆寮にこもりがちになる。また、軽井沢は冬の間は積雪が多く、外で運動できなくなることも多い。この状況を何とかできないか? そんなトーマスの問題意識が、プロジェクト立ち上げにつながった。「このプロジェクトを通して、学校のみんなをもっとアクティブにできたらと思っています」と、トーマスは力強く語った。 

 このプロジェクトには、日本人の女子生徒・ユマも賛同し、メンバーに加わっている。ちょうど寮生活を1年過ごし、自分や仲の良い友人の体調が必ずしも万全でないことが増え、このプロジェクトに意義を感じたという。「日本や国外に向けた活動をするグループもすごいですが、自分たちの身近なところからポジティブな変化を起こしていくのも大切なことだと思っています」。

 現在のメンバーは7人。ISAKのコミュニティーに健康的なライフスタイルを根付かせる施策を行なっている。例えば、朝食の前に皆が自由に参加できるエクササイズを行なう時間を設け、毎日メンバーが交代で教えているといった具合。食事や睡眠などについても、一人ひとりの生徒の相談を受けてアドバイスを行なっている。

 人に教えるには、自分たちが率先して学ばなければならない。プロジェクトウィーク中は、踊りながら楽しくエクササイズができる「ズンバ」のクラスに参加したり、日常的な動作を取り入れながら体のコンディションを整えていくアメリカ発祥のフィットネスプログラム「クロスフィット」のジムを訪ねたりした。

「PEAK」は、健康にQuality of Lifeを維持できるよう、個々にカスタマイズした運動や食事を提案するプロジェクト。学校でエクササイズなどのワークショップを定期開催するほか、フィットネス機器購入のために資金調達の計画を立てている(写真提供:FiNC)

 当面の課題は、当初よりエクササイズの参加人数が減っていること。そんな悩みに、あるインストラクターからの回答が、ユマやトーマスを勇気づけた。

 「誰かに実践してもらうためには、まず自分たちがしっかりコミットしていること、自分たちがより健康的に変わっていくことが大切だと言われました。共感してもらってはじめて、『自分たちもやろう!』となってくれるんだよ、と。本当にその通りだなと思います」(ユマ)