この「プロジェクト・ネパール」は生徒たちが自主的に始めたものだが、のちにISAKのカリキュラムにある、生徒主導で行なわれるリーダーシッププロジェクトの一つとして行われることとなった。また、これは国際バカロレアプログラムのCAS (creativity, action, service )としても扱われる。ISAKでは毎週金曜の午後に2時間、「CAS」の時間が設定されている。このカリキュラムを担当している教師、ジョリオン・ヒントンは最初にこのように生徒たちに説明するという。

 「毎週金曜日、卒業するまで、この場はあなたたちのものです。ここでは2つだけルールがあります。意義のある課題を設定すること。そして、単独ではなく、必ず仲間と一緒に取り組むこと」

 この場には、授業も、教材もない。「何をすべきか」は自分たちで考える。

 「生徒は自分で決断したことに対して、主体的に取り組んでいかなければなりません。各プロジェクトチームにはアドバイザーとして教員が入ります。助言もしますし、申請があれば予算も用意します。しかし、教員はプロジェクトリーダーではないのです」(ヒントン)

 自分たちで立ち上げるプロジェクトを運営するために必要なスキルを身に付けるため、合わせてワークショップも開催するという。ニーズを評価したり、行動計画を立てるためのスキルを高めたり、ビジョンを共有して創り上げていったりする方法も学んでいく。その集大成として年に2回、「プロジェクトウィーク」が行なわれる。

 「このプログラムが目指すのは、普段の授業とは別に、自分たちの身近な社会やより大きな社会と関わり、課題を見つけて行動を起こすことです。何をやるかは彼ら自身が決めること。プロジェクトウィークを通じて外の人と会い、困難を経験し、成長してもらうことが狙いです。これほど生徒に責任を持たせるのは学校として珍しいことですが、彼らにとっては素晴らしい学びの機会となるでしょう」(ヒントン)

一時的な支援で終わらせない

 2016年3月に実施されたプロジェクトウィークで、「プロジェクト・ネパール」のメンバーは東京へも泊りがけで足を運んだ。NGOで活躍するプロフェッショナルに話を聞き、自分たちの活動にフィードバックするためだ。

 「今、僕たちはこのプロジェクトをいかに持続可能なものにしていくかということが、すごく大きな課題だと思っています。世の中には、このような災害が起こると、いろいろなプロジェクトが立ち上がります。でも、それが時間の経過とともに色あせたり、頓挫したり、なくなったりしてしまうことも多い。そんななか、今も活動を持続している人たちが人的資源、財政的な面をどのように保っているのか学びに来たのです」(カルマ)

 訪問先は、特定非営利活動法人「ピースウィンズ・ジャパン」や、ニューヨークに本部を置く国際的な人権NGO「ヒューマン・ライツ・ウォッチ」、途上国の妊産婦と女性の命と健康を守る活動をしている国際協力NGO「JOICEP」など。メンバーはそれぞれ1カ月ほど前から自分たちで彼らにアポイントメントを取りつけ、今回のプロジェクトウィークを迎えている。