2014年9月の開校から、1年半が経過した「インターナショナルスクール・オブ・アジア軽井沢(ISAK=International School of Asia, Karuizawa)」。ゼロから始まったプロジェクトを足かけ6年かけて実らせた小林りんは、学校法人インターナショナルスクール・オブ・アジア軽井沢代表理事として、現在は軽井沢に住まいを構えながら、東京をはじめ、各地に足を運ぶ日々を送っている。

 ISAKの第1期生も2年生を半分終えた。もう半年もすれば、新たな1年生が入学し、3学年がそろう。小林は、毎週、校長のロデリック・ジェミソンとISAKのあり方を議論している。また、理事会のマネジメントも、小林にとっては重要な役目だ。さらに、最終審議の段階に入っているUWC(United World College)との加盟交渉や、学校運営のためのファンドレイジングも、小林が陣頭指揮を執る。

 あくまでも教育を軸としつつ、小林の活動は学校外にも広がりつつある。内閣官房による「教育再生実行会議」や厚生労働省が主宰する「働き方の未来2035」などの政府委員、起業経営者や政治家・官僚、学者、文化人などが名を連ねる「GIサミット」、世界のリーダーが集まる「ダボス会議」を開催する世界経済フォーラムのヤング・グローバル・リーダーズとしての活動など、多岐に渡る。そんな小林に、これまでの総括と今後の課題について聞いた。

(これまでの経緯はこちらを参照)

 学校法人インターナショナルスクール・オブ・アジア軽井沢(ISAK=International School of Asia, Karuizawa)の代表理事を務める小林りんのもとに、ある日、数人の生徒たちがやってきた。

 「りんさん、正直、僕らは納得いきません!」

 小林は、基本的に学校運営に関しては校長のロデリック・ジェミソンに一任している。ただ、生徒から相談があればいつでも受け入れるようにしている。それは、ビジネスという、教育のプロフェッショナルである教師陣とは異なる世界を生きてきた小林の視点が知りたいと、生徒が質問や相談を持ちかけるケースが少なくないからだ。

 しかし、この日は、ちょっと様子が違っていた。生徒は「学校のルールに不満がある」と言うのだ――。

コミュニケーションは常に“五分五分”

 発端は、開校後に決まった「校則」だった。開校時に大原則となる学校の考え方はあったが、学校を運営しているうちに直面する課題に応じて、都度少しずつルールが増えていった。

 例えば、インターネットの利用時間。夜中までインターネットを使う生徒のため、同室に眠れない生徒が出てきた。そこで、午前0時以降は、生徒がインターネット接続できないように、無線装置をとめることになった。また、奇抜な色に髪を染めていた生徒もいた。これは、軽井沢というコミュニティーになじまないとの判断が教師陣にあり、「髪の毛の色はナチュラルカラーであること」が校則に加わった。

 小林のところへ来た生徒たちは、「最近の学校のルールは保守的じゃないですか?」「生徒の自主性を重んじると言いながら、そうさせてもらえていない気がします。」などと、口々に訴えた。ひと通り話を聞いた後、小林は言った。「あなたたちがこうして何かに疑問を持ち、行動を起こしていることは素晴らしいと思う。私も生徒自治は多ければ多いほど健全だと思います」。

 「ただ」と、小林は続けた。「もし聞いてもらえていないと感じるなら、それはあなたたちにも原因があるのかもしれないよね?」。