チーム内でのいざこざが起こった時、駿さんが丸く収める様子を見て「この人なら実際に会っても大丈夫かなと思った」(菜摘さん)。ゲームで出会ってから2年ほどたった際、駿さんが菜摘さんの高校の文化祭に遊びに行って現実世界で初対面。同じ時期にゲーム内で結婚した。

 ゲームの中で出会っているだけに大前提として趣味が合う、という二人。ゲームでの結婚と同時に、現実の交際も始まった。ゲーム内での恋愛は「現実での遠距離恋愛とさほど変わらない」(駿さん)そうだ。ゲーム内結婚からさらに6年。二人は現実でも結婚することになった。

現実世界よりも互いの人間性が見える

 竹内麻衣さん(仮名、29歳)もゲーム内でバーチャル結婚した一人。自作の音楽を披露しあう演奏会で相手に出会った。ゲーム界の海岸やオアシスでデートを重ね、出会いから3年がたった時に結婚した。竹内さんは神奈川県在住で、相手は北海道におり、気軽に直接会える距離ではなかったが、気づけば中元や歳暮を送り合う仲になっていた。しかし、「お互い好きという気持ちはあるけど、タイミングが合わず現実世界で付き合うまでにはいかなかった」。

 竹内さんは「実際に対面するコミュニケーションより、ゲーム内の方が互いの人間性が見える」と話す。名前も顔もわからない分、両親や友人など親しい関係の人にさえ言えないような悩み事も相談できる。「ゲーム内で出会うことに対して良い印象がなかったが、考え方が変わった。実際の恋愛と同じような『好き』という感情がある」。現実での交際に発展するかは別として、互いの悪い部分も含め理解した上で恋愛感情が生まれるのはゲームという仮想空間だからこそなのかもしれない。

オンラインゲーム「マビノギ」での結婚式。現実での恋愛に発展することも多い

 いま竹内さんはゲーム内の相手とは別の人と現実世界で結婚している。ゲーム内の相手への恋愛感情はなくなっているかと思いきや、正直なところ未練が残っているという。「ゲーム内の相手ならいくら現実のことを愚痴っても大丈夫。そのおかげでリアルで爆発しないで済んでいるところがあるかもしれない」

 オンラインゲームという、身体的な距離が遠いコミュニケーションであっても現実と同じか、それ以上の恋愛感情が生まれる可能性がある。一方、今回の玉越夫妻も竹内さんもゲーム内で結婚しながら、後に現実の世界で結婚している。バーチャル婚が、完全に従来の結婚の代替になるということは考えにくい。恋愛のきっかけがバーチャル婚であっても、最終的に人は身体的な距離の近いつながりを求めるといえそうだ。