一気にあぶり出すことが大事
その場合、企業はどのような行動を取るのでしょうか。
郷原:一番安全なのは、偽装や改ざんなどの不正を「把握しない」ことになってしまいます。把握してしまったら、顧客への説明や公表など大変なことになりかねません。実態を正直に報告しなくなる現場が増えることは容易に想像できます。そして、カビはさらに根深くなっていく。
どうすればカビを根絶できるのでしょうか。
郷原:まずは、企業から切り離された第三者による「問題発掘型アンケート」が有効です。全従業員に対して匿名でアンケートを実施して、具体的な問題点を自由に記述してもらうのです。
一定の期限内に申告すれば、社内処分は免除するという方法も有効です。法令違反は無視できませんが、軽微な問題だったら免責するという姿勢を明確にすれば、申し出る人も現れるでしょう。
そうすることで、どの事業部でどんな問題が発生しているのか、経営トップが把握できるようになります。調査を進めれば、汚れや湿気といったカビの根本原因が見えてくるかもしれません。
品質に関する不正が五月雨式に発覚するような状況は、日本の企業社会にとってマイナスです。企業組織の末端には様々な問題が潜んでいるという前提に立ち、この機会に一気にあぶり出して解消することが重要だと思います。
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