出戻り社員の採用はダイバーシティーにうってつけ

 ところで、ダイバーシティーの観点からは新卒一括採用は、あまり勧められない。マイクロソフトの変革においても、人材の入れ替えが行われていることは強調する必要がある。

 中途採用のほうがダイバーシティーにはずっと貢献する。また、日本企業の場合、日本語をある程度話せないと外国人は採用しないケースが多いが、日本で何年か働けば日本語は上手になる。学力が一定以上ある、専門的な技術を持っているなど、語学以外の基準で採用したほうが、多様性を活かせる。

 また、女性採用にばかりとらわれず、逆に男性社員の育児を奨励するために制度をつくったり、社員に海外でボランティアの経験を積ませるために休暇制度を設けたりすることも、人材の多様化につながる。日本人は均質だという人がいるが、よく見ると結構多様な側面もある。「多様さを抑圧して画一的に扱っている」のは企業の方だとも考えられる。

 最近は、転職した元社員の出戻り入社を認める会社が少しずつ増えているが、ダイバーシティーの観点からは、外で経験を積んできた元社員は絶好の人材と言える。また、長期休業制度や、留職(他社で働いてから戻ってくる権利を与える)制度も検討に値する。

 日本企業は、米国の企業ほど大胆に人材を入れ替えることはできないかもしれないが、ダイバーシティーを高めるために、比較的、容易にやれることは工夫次第でいくつもある。

(了)

サティア・ナデラ Satya Nadella
マイクロソフトの最高経営責任者(CEO)。40年あまりの歴史を持つ同社の第3代CEO。情報科学の修士号取得のため、21歳の誕生日にインドのハイデラバードから渡米。アメリカ中西部やシリコンバレーでの経験を経て、1992年にマイクロソフトに入社。以後、同社のコンシューマー、エンタープライズ両部門で、さまざまな製品やイノベーションを主導する。マイクロソフトでの役職に加え、フレッド・ハッチンソンがん研究センターの評議員、スターバックスの取締役も務めている。また、妻のアヌとともに、シアトル小児病院や、シアトルにある障害者ら向け施設を個人的に支援している。Photo©Microsoft
マイクロソフトCEOであるサティア・ナデラの初の著書。過去に大成功したゆえ、守勢に回り、モバイル化とクラウド化の波に乗り遅れたマイクロソフトをいかに立て直したかが、現役CEOの本音とともに赤裸々に描かれている。