カルチャーは、経営者が自分の経験の中から打ち出す

 今回の著書の題名である『Hit Refresh』は、経営者というのは「リフレッシュボタン(ブラウザの更新ボタン)を押さないといけない」ということを表している。

 では、リフレッシュされるものは何か?

 それは、コンセプト、ケイパビリティー、カルチャーのすべてだ。リフレッシュの仕方はそれぞれ違っていて、コンセプトというのは、特にテクノロジー企業は、技術がどこに向かっているのかを各部門から聞きながらつくりあげていくもの、自社のケイパビリティーは、自社が持っている強みは何かを日々のオペレーションを見ながら認識していくもの。これは長年オペレーションを見ることで培われるものだ。

 それに対してカルチャーは、経営者が自分の経験の中から一番よいと思うものを打ち出していける。だから、経営者が自分の個性を存分に発揮できるのはカルチャーである。ビジネスの変革はカルチャーを変革することでもある。このカルチャーにおいては、外部の人間の方が有利だろう。しかし、カルチャーは自然にできていくものではなく、コンセプトとケイパビリティーを理解しながら、経営者の意志を反映して変わっていく。このコンセプトとケイパビリティーについて内部昇進者の方が有利だろう。

 マイクロソフトのように、大成功した会社が変わろうとすると、守りの姿勢に入ってしまいがちだ。もう一回、社員に成長マインドセットを持ってもらうためには、経営者がカルチャーに目を光らせながら、リフレッシュボタンを押し続ける必要がある。

(次回に続く)

サティア・ナデラ Satya Nadella
マイクロソフトの最高経営責任者(CEO)。40年あまりの歴史を持つ同社の第3代CEO。情報科学の修士号取得のため、21歳の誕生日にインドのハイデラバードから渡米。アメリカ中西部やシリコンバレーでの経験を経て、1992年にマイクロソフトに入社。以後、同社のコンシューマー、エンタープライズ両部門で、さまざまな製品やイノベーションを主導する。マイクロソフトでの役職に加え、フレッド・ハッチンソンがん研究センターの評議員、スターバックスの取締役も務めている。また、妻のアヌとともに、シアトル小児病院や、シアトルにある障害者ら向け施設を個人的に支援している。Photo©Microsoft
マイクロソフトCEOであるサティア・ナデラの初の著書。過去に大成功したゆえ、守勢に回り、モバイル化とクラウド化の波に乗り遅れたマイクロソフトをいかに立て直したかが、現役CEOの本音とともに赤裸々に描かれている。