一方で、来年の箱根駅伝に向けて注目は、集計では大手メーカー中、最下位にいるニューバランスなのです。

 ニューバランスが、前年4人から一気に23人に数字を伸ばした秘密があります。それは「靴職人・三村仁司さん」の存在です。

「伝説の靴職人」がニューバランスと専属契約!

 ドラマ「陸王」におけるシューフィッター村野尊彦のモデルは、この三村さん。アシックスで高橋尚子さんや野口みずきさんを始めとした数々のトップアスリートの靴をつくり続けてきた方なのですが、2009年アシックスを退職し、シューズ工房「M.Lab(ミムラボ)」を設立。そして2010年、アディダスと専属契約を結びます。その直後から、多くのアスリートたちがアシックスから、三村さんがつくったアディダスのシューズを履き始めたのです。

 選手がブランドで靴を選ぶのではなく、自分にいかにフィットするか? ということに重きを置いていることがわかる出来事なのですが、その三村さんがアディダスとの契約を解消し、2018年1月1日のニューイヤー駅伝スタート直前に発表となったのが、ニューバランスとの専属アドバイザー契約締結。

 ニューイヤー駅伝では、初代山の神・今井正人選手、三代目山の神・神野大地選手が、三村さんの工房で手づくりされたシューズを早速着用。全国ネットでのお披露目となりました。

 そして、箱根駅伝では、「【ニューバランスの三村モデル】18人」。この18人が、三村さんの手によるニューバランスのシューズを履き、箱根駅伝を走りました。

2018年元日のニューイヤー駅伝でお披露目となった【ニューバランスの三村モデル】。箱根駅伝では18人が着用

 特筆すべきは、チーム全体でアディダスカラー一色であるはずの青山学院大の下田裕太選手が、この【ニューバランスの三村モデル】を履いていたこと。トップランナー達によるメーカー大移動が始まりました。

アディダスとスポンサー契約をしている青学の8区下田選手のシューズは、【ニューバランスの三村モデル】!

 ぼくは以前、三村さんの工房でシューズをつくってもらったことがあります。足を採寸するだけでなく、足首の柔軟性や角度、さまざまなチェックを行い、数値化していきながら、

 「そうとう左足が弱いな。左足だけのスクワットを100回。これを1日3セット。足首も硬いから、毎日、伸ばすように。そして、青竹もしっかり踏んでおくこと。ちゃんと接地もできてないようだから、足首にこういうテーピングを巻くように。言ったとおりにやれば、このままよりも、フルマラソンのタイムは15分速くなる」

 と、事細かにアドバイスをくれるのです。

シューズをつくってもらうために、靴職人・三村さんに採寸など足のさまざま点をチェックしてもらっている筆者

 どうやら三村さんという人は、ただ靴を作るだけでなく、どうしたら、身体がバランスよく動くか? どうしたら、人が速く走れるか? ということを、徹底的に考えてきた人のようなのです。

 三村さんのもとにはトップアスリートだけでなく、扁平足やO脚といった足にトラブルを抱える方も多く訪れ、症状に合わせたインソールをつくっています。

 もともと、インソールや矯正靴から始まった「ニューバランス」と三村さんとの組み合わせは、なかなかいいんじゃないか。

 まさにリアル「陸王」。ドラマのような世界が本当に起こり始めたのです。

 (編集担当S)三村さん、スゴい方ですね。三村マジック、もっと知りたいなあ。

 ふふふ。

 (編集担当S)その不敵な笑みは、もしや…

 次回をお楽しみに!

青学で4連覇のゴールテープを切った、10区の橋間貴弥選手

■写真提供:EKIDEN News

(次回に続く)