ケーブルテレビ配信でリンチの世界が炸裂

 ざっというと、「ツインピークス」とは、カナダ国境に近いアメリカの架空の田舎町の名前。一見平和だったその町で、みんなに愛されていた女子高校生が殺されるところから物語が始まる。その事件をきっかけに、善良だったはずの町の人々のブラックな側面が次々と露呈。この殺人事件を解決するためにやってきたのが主人公、FBI捜査官のクーパー(カイル・マクラクラン)だった。ちなみにチェリーパイとコーヒーが大好きなイケメン捜査官だ。

 続編ではこのクーパー捜査官を始め、当時のツインピークスの住人たちの25年後という設定で、当時から25歳老けたオリジナルキャストがたくさん登場する。別人になった役者もいれば、遠目ならほとんど変わらない役者もいて、彼らの25年も見どころのひとつになっている。

 また続編から新たに登場するキャラには、ナオミ・ワッツなど大物もキャスティングされている。自分の場合、すでに公開されている続編の4話まで見たが、キャスティングで一番驚いたのは、日本人女優のあの裕木奈江が謎の役で登場したことだろう。

 詳しくは言わないが、正確には「たぶんきっと裕木奈江」としか言えないような役柄。加えて、なんであの役が必要なのか、それもなんでよりによって裕木奈江なのか、何もかもがナゾ。とにかく、そんなこんなも含めて、訳の分からなさは続編でも健在…というか旧作以上とも言えると思う。

 このようになった背景には時代の変化もある。旧作が当時アメリカの3大ネットワークの一つと言われたABCでゴールデンタイムに放送されたのに対して、今回は、ケーブルテレビ局ShowTimeでの放送となり、視聴者が絞られたおかげでリンチ監督お得意の、あんまり脈略のなさそうなヌードシーンやグロテスクなシーンも解禁に。テレビドラマなのにより映画に近い、リンチの“訳分からないワールド”が炸裂することになった。

 ちなみにアメリカでは古くからケーブルテレビが広く普及し、多チャンネル化が始まっているが、今はケーブル局の時代にも陰りが見え、Netflixなどのネット配信にユーザーが大移動している最中と言われる。有料のケーブルテレビを解約して、ネット配信に切り替えることを意味する「コード・カット」なんていう新語もあるらしい。