「バブルのバブル」は続いている

 とまあ、そんなバブル時代の思い出話も、崩壊した後ろめたさがあったんだろう。バブル世代は崩壊後、かたくなに口をつぐんで、語られることも少なかった。だいたいバブルを知らない世代に自慢しても、「はあ、そうですか」と氷のように冷たい目で見られるだけだし。自分もバブル話は自虐ネタとしては使っても、自慢するなんて滅相もございません。したくても、ほとんどする機会なんてなかったと思う。

 ところが、平野ノラがブレイクしたり、CMでボディコンの田中美奈子が踊り始めるや、風向きがすっかり変わる。バブル自慢は若い人にも受けがよくなり、おじさんおばさん上司と若い部下みたいな、”異文化コミニュケーション”になくてはならないキラーコンテンツになってきた。長年我慢していたバブル自慢が解禁されて、バブル世代もふっきれたんだと思う。自分も気がつくと「知り合いがエーゲ海にさあ」とか、若い人相手に、自慢げにバブルを語ることが増えていた。

 で、ここからが本題。今年に入ってからは、芸人のブルゾンちえみや、ボディコンに身を包んだバンド「ベッド・イン」の真っ赤なリップくらいにしかバブルの影を見ないような気がするが、「バブル」ブームはどうなったのか。実は今回は特別ゲストを呼んでいる。バブルと言えばこの方。「FICCE」というブランドで80~90年代を駆け抜けた、ファッションデザイナーのドン小西さんだ。ちなみに「FICCE」は90年代当時、芸能人やミュージシャンがこぞって着るブランドとしても有名だった。

 ドン小西さんも当時は、「(実は話が通じない)イタリア人のイケメン秘書」をはべらせたり、フェラーリでコンビニに牛乳を買いにいくなど、バブルを満喫したが、90年代後半になって崩壊。数年前、巨額の借金をようやく返済したことが話題になったりした。

 今回の「バブル」ブームでは、バブルを知らない世代が、ド派手でパワフルなバブルファッションに注目。さすがに当時のOLを真似て、ボディコン+ゴールドアクセサリーで出勤する女子まではいなかったが、バブル時代のファッション写真が盛んにシェアされるなど、「バブルすげー」コールが巻き起こった。

 と同時に、バブル期のアイコンとしてドン小西さん自身も注目されて、あちこちのファッション誌に引っ張りだこ。「バブルのバブル」が来ていると小耳に挟んだんですけど、その後、「バブル」ブームってどうなりました?

 「バブルの取材は、今もちょこちょこあるよ。ブームはまだ続いてるんじゃないかね。一番よく聞かれる質問は、『なんで今、バブルファッションが注目されてるんでしょうか?』。たださ、その前にバブルファッションっていう言葉はおかしいよね。正しくは80年代ファッションだろう」

 と、まずはダメ出し。要はこういうことだ。肩パットもボディコンも、当時、世界で流行していたものを好景気に浮かれた日本人が買いあさっただけ。バブルだったのは日本だけで、バブルだから生まれたものじゃないらしい。だから「80年代ファッション」と呼べと。分かりました。じゃあ、なんで80年代ファッションが注目されてるんですか?

 「理由はいろいろあると思うよ。ここ数年、”究極の普通”とも訳されるトレンド『ノームコア』とか、(ジーンズにシャツを合わせるような)一見すると何の変哲もないごくフツーのファッションがトレンドになったりしてる。その反動で、80年代のアクの強いファッションが新鮮に映るっていうのもあるだろうね」