起業を支援する靴職人の扱いが寂しすぎる…

 何と言ってももったいなかったのは、市村正親が演じる靴職人の麻田さんだと思う。店先をすみれちゃんに貸してあげたことで、「キアリス」創業の大きなきっかけを作る重要人物だ。ドラマでは、すみれちゃんたちがお嬢さんならではの図々しさで、麻田さんの店の大部分を間もなく占領。その後麻田さんは、キアリスの社長に就任するという流れだった。

 実はヒロインの起業に力を貸した靴職人が、一時期「ファミリア」の社長に就任してヒロインをバックアップするというのは史実でもある。ちゃっかりしてるけど、運を持ってるお嬢さん起業家を描写するための素材としては格好の人物なのだが、この麻田さんの扱いが雑すぎる。社長になったまでは良かったが、絵に描いたような名義貸し社長で、後は自分の店で靴を作っている場面しかなかったし。

 最後は、いきなりミュージカル仕立てになったクリスマスイブの放映回で、「声量ありすぎる靴職人」みたいな花道を与えて、出番は終了。「ナレ死」といって、ナレーションだけで死んだことが告げられる、あんまり重要じゃない登場人物のフェイドアウトパターンがあるけれど、麻田さんの場合はナレーションもなし。その後、劇中の「キアリス」の棚に、麻田さんの写真が飾られることで死を告げる、もっとあっさりした「小道具死」パターンとなっていた。あんまりだと思う。