実際は放蕩旦那? てんの夫のキャラが優等生過ぎ

 NHKのサイトを見ると、単なる人情劇ではなく、コメディーとしても楽しめるドラマを狙ったようだが、せいさんの人生そのものは別にお笑いではないわけで…。このちょっと強引なコメディ化のあおりが、ほかにもある気がする。てんの夫、藤吉のキャラも、これまで描かれてきた吉本吉兵衛さんとは、ひと味違う気がするのだ。

 「わろてんか」の藤吉は(今のところ)、事業にも熱意がみなぎり、家族にもちゃんと目が届いている、現代によくいるようなイクメン系のキャラクター。外で遊び歩いているように見えるが、実はそれは事業のための人付き合いで、女の影も、散財の影も微塵もない。

 かたや、遊びまくり、家族を裏切りまくりの放蕩旦那というのが、これまで語られてきただいたいの吉本吉兵衛さん像だ。それでも何か困難が起これば、商売の勘を働かせて的確な手を打ち、事業を大きくしてきたとされる。

 まあ、あんまり生々しい話は「笑い」というテーマに似合わないし、不倫が炎上物件となる社会事情や、藤吉を演じる松坂桃李のキャラなんかも鑑みてのことだろう。でも、たかが夫のキャラクターとはいえ、ここはせいさんがあの時代、女性でありながら事業を大きくしてきた重要ポイント。代わりに笑わせてくれるならまだしも、あのギャグと引き換えにキャラ変更って、どうなの?

 ちなみに史実では、せいさんの夫、吉兵衛さんは、寄席ビジネスに成功して間もなく、若くして病死してしまったという。残り少ないだろう藤吉が登場する回のうちに、急に不良化することもありうるが、それはいいから、関東人のおぼつかない関西調で言ってみよう。もうちょっと「笑わせてんか」。