笑わせるシーンには置いてきぼりなのが悲しい…

 その創業期の吉本を切り盛りしてきたのがせいさん。そんな彼女がモチーフだけに、ストーリー展開は、面白くないわけがない。「わろてんか」でも、てんと藤吉が開いた寄席「風鳥亭」は、さまざまな苦難に見舞われながらも着実に拡大。史実がベースで、しかも吉本は今なお人気芸人を多数抱える有名企業だもの。その吉本が日に日に成功していく物語は、お笑い好きも、そうでない人も、見どころが満載となっている。

 と、ストーリーには夢中になりながら、どうしても引っかかるのが、前出「どちらも欠けてはなりません」のような、笑わせるシーンの寒さ。それも、ほぼ毎日のように寒い思いをさせられるから厄介だ。他にも例えば、口の回りをチョコレートだらけにした藤吉が、石川五右衛門にかけて歌舞伎調に言ったこれとか。

 「チョコ右衛門とは、オレのことよー」

 それもこのネタ、てんの子ども時代と、大人になってからの2回も登場するところを見ると、藤吉の18番らしい。まあ、この手の、ひねりゼロのネタを目の前で見せられて、子どもなら笑ってしまうのも無理がないが、大人になったてんまでが、またしてもパー子状態に。見ている自分だけが、置いてきぼりというパターンとなる。

 「もしかして自分の笑いのスイッチが壊れたのかも?」と心配になって、「エンタツ・アチャコ」という昭和の大御所芸人の、当時の漫才音声を聞いてみた。ちなみに「わろてんか」では、「キース&アサリ」として登場するのが彼らだと言われる。

 いわゆるコテコテのしゃべくり漫才で、くだらないダジャレを機関銃のように発射。聞いているほうは、「しつこーい!」と突っ込みを入れるうち、大笑いしてしまうというお笑いマジック。音質の悪い昔の音声で、これだもの。ライブの面白さは、想像を絶するものがあっただろう。一方、「キース&アサリ」。今のところ、一回も笑わせてもらったことがない。