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よりましな入学試験とは

 こういう話をすると、欧米では、AO(アドミッション・オフィス)入試が当たり前で、ペーパーテストは古く、日本の入試はグローバルスタンダードに反しているという批判もあるだろう。

 たまたまラジオを聞いていると、脳科学者の茂木健一郎氏が東大入試が古く、役に立たないかのような批判をし、東大に受かった人間でもハーバード大には受からない、ハーバードはいい学生を採るのに命を懸けているというような発言をされていた。

 確かにハーバード大学は学生を募集・選抜する入学事務局、アドミッションオフィスに2000人の専従職員がいるとされ、いい学生を採るのに命を懸けていると言っても過言ではない。また入試面接についても日本の大学と違う。面接を本業としない大学の教授が面接をせず、アドミッションオフィスの面接のプロが面接を行う。

 これは面接のプロかどうか以上に、教授が面接すると自分に逆らいそうにない人間を採りかねないが、大学の発達のためには教授に議論をふっかけそうな人間を採ろうという背景もあるという。

 実際、今回の不正入試に限らず、ここしばらく研究費の不正や論文の改ざんなど医学部の不祥事が相次いでいるが、学生が公開質問状を出したのは、入試面接のない東大医学部だけだった。その東大医学部も、偶然の一致かもしれないが、公開質問状を出された年に、入試面接の導入を発表している。

 自分たちに逆らいそうにない人間を採るというのが基準であれば、彼らの面接眼は極めて正確だったと言えるが、学問の進歩のためには望ましいこととは言えないだろう。

 ただ、だからといって、日本のペーパーテスト入試が前時代的な証拠とは言えない。

 茂木氏が批判するように、東大に受かった人間がハーバード大学に受かるのは困難だろう。ペーパーテスト学力が高くても、面接のレベルも高く、また自己推薦書や、あるいは他人からの推薦も必要だ。学校の成績が重視されるので、進学名門校で真ん中くらいの成績で東大に入る人間は、ハーバードは夢の夢になってしまう。