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 マークシート式の大学入試センター試験が大学入学共通テストに代わり、記述式が一部に導入される。これまでの知識量を問う問題から「思考力・判断力・表現力」を問う問題になるとされる。英語では、筆記とリスニングが均等配点になる(現在は筆記200点、リスニング50点)。

 これについては試行テストも行われ、おおむね方向性が固まりつつあるが、問題は、大学入試センター試験に続いて各大学が個別に実施する二次試験の改革である。

 今のところ、予想以上にこの新共通テストの準備に手間取って(複数回施行する予定が延期になったり、試行テストの点が予想以上に悪かったので、問題を大幅に差し替える方向のようである)二次試験の改革があまり話題に上らなくなったが、この改革の方向性については、明確に打ち出された文部科学省の文書がある。

 一つは、2014年12月22日に、文科省の諮問会議である中央教育審議会による「新しい時代にふさわしい高大接続の実現に向けた高等学校教育、大学教育、大学入学者選抜の一体的改革について」という答申であり、もう一つは、この答申を具体的にどういう形で実現するか議論した文科省の「高大接続システム改革会議」が2016年3月31日に公表した最終報告である。

 この答申でも、最終報告でも、一貫して、これまでの大学入試はペーパーテスト偏重であり、「学力の3要素」【「知識・技能」「思考力・判断力・表現力」「主体性を持って多様な人々と協働して学ぶ態度(主体性・多様性・協働性)」】のうち、「知識・技能」ばかりを重視してきたと断罪されている。

 そして、代わりに、もっと活用せよとされているのが、学校の調査書、本人の志望理由書、そして今問題とされている面接と小論文なのである。

入試改革の危険性

 さて、この答申では、これまでの知識量を問う学力については、「従来型の学力」と切り捨てられているだけでなく、「点数だけを評価対象とすることが公平であると捉える、既存の『公平性』についての社会的意識を変革」(11頁)が不可欠であるとしている。

 実は、この公平性の議論は直前になって書き加えられたもので、この答申が出される2カ月前の2014年10月24日の第21回高大接続特別部会において、文科省の田中聡明高等教育政策室長(当時)が新たに答申に書き加えたことを明言している。

 「高大接続システム改革会議」の安西祐一郎座長は、毎日新聞のインタビューで、「そもそも大学入試を受けるまでの段階で公平なのか考えてほしいと思います。家庭の所得格差が学歴格差の要因になっている」と答えている。ペーパーテスト入試でも公平でないのだから、面接や小論文などを課す新しいテストが公平でなくてもいいと聞こえるのは私の妄想であると信じたい。

 ただ、今回の入試を巡る一連の騒動の始まりは、文科省の局長が、私立大学研究ブランディング事業に東京医大を選定して補助金を支払った見返りに、自分の子弟を不正入試で合格させてもらった疑いで逮捕され、7月24日に受託収賄罪で起訴されたことだ。その後の調査の過程で、多浪生や女子に対する一律の差別的な採点が問題になったが、それ以外にも卒業生子弟への加点があったことが明らかになった学校もある。