生産不足の時代であれば、生産性の高い男性ほど(女性も)評価が高かった。しかし、消費不足であり、生産したいものがAIやロボットでほぼ作れる時代であれば、のび太型の、なるべく怠けたい、消費大好きの女性がリーダーとなって、わがままをいうような会社の方が支持を集めたり、売れるもの、売れるサービスを作れるかもしれない。

 パラダイムシフトの時代には、外国人労働者を受け入れるかどうか以上に人余りをどう解決するかとか、これからの時代に必要とされる人材とはどういうものかを考え直す必要があることは確かなようだ。

内科医はAI、外科医はロボが代替

 生産過剰や、AI、ロボットの実用性の大幅な向上以外にも、この10年、20年であちこちで大胆なパラダイムシフトが起こると私は読んでいる。

 たとえば医学の世界だ。

 iPS細胞が当たり前に使える時代がくると、医学が180度と言っていいくらい変わると私は考えている。

 生活習慣病といわれる高血圧や糖尿病、高脂血症の治療をなぜ行うかと言うと、将来の脳梗塞や心筋梗塞などの予防のためだ。これは原則的に動脈硬化がひどくなって起こると考えられるので、その促進要因である高血圧や高血糖、高脂血症を治療することで動脈硬化になりにくくするという考え方である。

 そのために集団検診を行い、これを早めに発見しようとするし、異常値が見つかれば、投薬や生活指導を受ける。

 しかし、ある程度動脈硬化が進んだら、iPSで治療ができるという話になれば、この手の健康診断も、その後の投薬や生活指導も大部分はいらなくなる。

 これまでは内科的治療の発達で多くの外科医が必要がなくなった。結核を抗生物質で治療できるようになると手術で結核の患部を取り去る必要がなくなった。胃潰瘍の薬が発明されると、まず手術的治療が行われなくなった。がんの特効薬ができれば外科医の大半が失業するという話はかなり前から出ている。

 ところがAIが検査データを読み、動脈硬化が生じたらiPS移植ということになれば、逆に内科医が失業して外科の時代になるかもしれないし、それも手術ロボットの普及で失業の憂き目にあうかもしれない。

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