同じように農作物だけでなく、工業製品についても生産過剰が危惧される。

 それなのに、生産性を上げろと言うのは、パラダイムシフトに対応できていないとしか思えない。生産性を上げれば輸出の競争力が上がるという考え方もあり得るが、トランプのような保護主義が世界中で起こるようになれば、その目算も狂うし、買ってくれる途上国が自らで作れるようになり、自国内でも生産過剰になれば、やはり買い手が減ってくる。

 そう考えると、我々は大胆な発想の転換が必要となるだろう。

 経営者には、生産性を上げるより、従業員が会社の一歩外に出れば消費者になるのだから、給料を上げるべきという発想が必要となるかもしれない。高齢者が増えることを心配する人が多いが、生産しないで消費だけしてくれる高齢者がありがたい存在ということになる。同様に生活保護バッシングもナンセンスで、むしろ歓迎すべき存在と言う話にだってなり得る。

AIとロボットの時代に残る人の役割

 働かない時代という意味では、人工知能(AI)やロボットの技術進歩も見逃せない。

 自動運転が実用化されれば、トラックやタクシードライバーが大量に失業するとされる。着いた先で荷物を運ぶのだって、ロボットの方が力があるだろう。配送ミスだってむしろ少なくなるはずだ。

 私は毎月、福島で原発の廃炉作業をしている職員のメンタルケアのボランティアに今でも通っているが、慢性の人手不足に悩む廃炉作業でもほとんどがロボットで代替可能になるだろう。それどころか現在肉体労働とされているものは、ほぼロボットで代替可能で、せいぜい現場の監督が必要なだけになるようだ。

 医者や弁護士のような知的職業だって危ういとされている。AIであれば、どんな優秀な弁護士より判例や法律を覚えることができるし、毎年作られる法律をどんどん更新できる。今の医者のように検査データや画像データで診断するのであれば、おそらくAIに太刀打ちできないだろうし、たとえば放射線画像からがんを見落とすことだってはるかに減るはずだ。

 接客業や介護などロボットがやるより人間にやってもらった方がうれしい仕事が生き残るとされているが、人間の肌を人工で作れるようになって、人間のモデル以上の美女ロボットが、人間よりはるかに優しい対応をしてくれるプログラムでもてなしてくれれば、こっちの方がいいという人も珍しくなくなるかもしれない。

 漫画「ドラえもん」では、劣等生ののび太がロボットのドラえもんにいつも泣き付いているが、このパラダイムシフトの中では、のび太のようなわがままなリクエストが出せる人の方が、その命令を忠実に実現する優秀な人より価値がでるかもしれない。

 現にスティーブ・ジョブズは技術者でないのに、あれこれと作ってほしいものを発案し、大成功者になっている。こういうタイプの経営者が、これまで優秀とされてきた人材にとって代わってスタンダードになってくる可能性は大だ。

 女性の時代といわれて久しいが、この新パラダイムでは、別の形の女性活躍の時代がくると私は考えている。

 これまで活躍している女性は、男勝りというか、男性以上に生産性の高い人が多かったように思う。

 私が考える新しい女性リーダーというのは、男性ではできない発想をする女性だ。有史以来、男が稼いでくる、生産する、女性は主に消費して家庭を守るというのが基本的なスタンダードだった。

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