病院ガイド、ランキングはあてになるのか

 そのため、病院ランキングや病院ガイドが大流行だ。

 外科の場合は、手術数がランキングの基本になっていることが多い。私もこの考え方は悪くないと思う。医療漫画の『ブラックジャックによろしく』でも話題になったように、手術というのは経験が多いほどうまくなることが多い。病院の死亡率や手術の成功率(これははっきりとは出せないだろう)のようなデータを求める声は大きく、群馬大学は腕のせいで死亡率が高かったようだが、一般的には、名医のいる病院のほうが難しい患者の紹介を受けることが多いので、成功率が落ちたり、死亡率が高くなってしまうことがある。

 手術をやる科はランキングの根拠が分かりやすいが、内科や精神科はどうだろうか? 私が関係する精神科において高齢者に対する薬の使い方を見ると、確かに腕前には雲泥の差がある。ところがそういうものはデータ化されにくい。

 これに関しては患者数ランキングがかなりあてになる。もちろん情報のない患者さんはブランド病院をつい選んでしまうから、その部分はあてにならないところがあるが、紹介患者数を調べることができればかなりあてになる。

 昔は自分の出身の大学病院を自動的に紹介する医者が多かったが、研究重視、臨床軽視の病院を紹介すると、自分の評判を落とすことになるので、そういう医者が減ってきた。これまで患者を紹介してきて、その患者や家族から評判の良かった病院に紹介する傾向が強い。自分の出身大学でなくても、医者からの紹介状があれば断れないことを知っているからだ。

 病院ランキングを見るうえで私が重視しているのは、誰が監修したり、誰が選んでいるかだ。

 学会が選んだというのなら、基本的に政治力が働くことが多い。日本老年医学会が薬物療法のガイドラインを出して注目されたが、高齢者は栄養不足が致命的になることが多いのに、食欲不振や胃腸障害などの副作用が多いことで知られる骨粗しょう症の治療薬が慎重投与の対象になっていなかった。高齢者のうつ病を原因とした自殺が多いことや、高齢者がうつになると食欲不振やそれに伴う脱水を起こして命取りになることは、高齢者の臨床を行う者にとって常識的なことなのに、うつ病の治療薬は目の敵にされていた。今でもこの学会に大きな影響力を与えるボス的存在の人物が骨粗しょう症の専門家なので、忖度が働いたとしか思えない。

 外科系の学会でも、ボスになるのは、腕がいい人より、有名大学の教授や政治力に長けた人が多いとされる。ブランド名で選ばれた医師にばかり取材している病院ガイドは、少なくとも私は参考にしない。その科で名医とされている人が選んだものならあてにする。

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