この数カ月、不当な圧力に屈する形で行われた不正行為にまつわるニュースが相次いでいる。
7月27日、日本ボクシング連盟の山根明会長をはじめとする連盟の不正を訴える告発状が日本オリンピック委員会などに出され、特定の選手が勝つよう審判員に圧力をかけたとされる「奈良判定」なる疑惑が浮上している。日本大学アメリカンフットボール部の悪質タックル問題にしても、監督に逆らえない体質から、選手が反則を働いたように報じられているし、文部科学省幹部の息子を東京医科大学が不正合格させたとされる疑惑にしても、補助金を握る官僚の圧力があったと見られる。

今回はこのような不当な圧力に屈しないためのサバイバル術を考えてみたい。
自殺者まで出した財務省の決裁文書改ざん問題にしても、上に逆らえない役所の体質が明らかにされている。改ざんの命令を下した側にしても、安倍晋三首相夫妻への忖度があったとしたら、「権力には逆らってはいけない」という意識の結果だろう。
大企業の不正経理事件にしても、立て続けに発覚した品質管理データの改ざん事件にしても、上に逆らえない風土の影響は否定できないだろう。
私の見るところ、表沙汰になる不正行為は氷山の一角である。そう考える大きな背景に、長年医者を続けてきて、医療業界の上の意向に逆らえない体質を見聞きしてきたことがある。
トイレの小便器で機嫌の悪い教授の隣に並んだことをきっかけに、遠方の病院に飛ばされたという伝説がまことしやかに流れるほど、昔は教授の一存で何でもできた。今は、そこまではないだろうが、明らかに医学部の権威に忖度する体質は続いていて、国民の健康を脅かしている。
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