従来の発想にとらわれない

 そんな折、ラジオを聞いていたら人気ブロガーの「ちきりん」さんが興味深いことを言っていた。

 被災地に避難所を用意するより、被害がほとんどなく、生活物資も充実している場所に避難所を作るほうが現実的だという話だった。水も出ない、物資も足りない被災地に援助物資を運びながら、並行して救出活動やライフラインの復旧に取り組むのではなく、まず人は被災地から離れた場所に避難させる。そのうえで被災地では行方不明者の捜索や復旧に専念した方が合理的という彼女の主張は納得できるものだ。

 実際、事前避難では被害が起こらなさそうな地域に避難するのが原則になっている。もちろん、自分の生活拠点から離れるストレスで心身に問題が出る人が増えるようなことがあれば、カウンセラーを派遣するなどして心のケアに取り組む必要がある。あるいは被災地にとどまるという従来の避難方法に戻す必要性が出てくるかもしれない。とはいえまずは、離れた安全な土地に避難するという方法を試してみる価値はあると思う。

 西日本豪雨ではIT(情報技術)の活用の遅れも痛感した。

 これもラジオで知った話だが、大雨などに関する警報が出た時点ですでに水浸しになっている家屋がかなりあったという。スマートフォンがこれだけ普及しているのだから、現地の人が察知した危険を投稿できるシステムぐらい用意できるはずだ。

 米国を中心に世界に普及している「Waze」というカーナビアプリがある(日本にも上陸しているのだが、イマイチ普及していない印象だ)。これのいいところは、事故や工事があったり、予想外の渋滞が発生したりした際に、スマホからいつでも投稿ができ、その情報がカーナビに反映される点だ。いいか悪いかは別として、交通取り締まりの実施もリアルタイムでわかるし、近所でいちばん安いガソリンスタンドもわかるという優れものだ。

 要するにスマホの利用者は情報の受け手であり、送り手にもなれるという発想の転換が活用されている。これは、災害情報をよりリアルタイムにできるということを示唆している。

 ITの進歩を少しでも、災害対策に利用しないと、地球温暖化のせいかどうかはわからないが、豪雨災害が増えている現在、同じ悲劇を繰り返すことになるのではないか心配である。