豊田真由子という国会議員が秘書に暴言を浴びせたあげく、暴行に及び、けがをさせた診断書も出ているということでメディアを騒がせている。この記事を掲載した週刊誌が、音源の一部を公開したとのことで、テレビやラジオで使いやすかったことや、その録音内容があまりに過激なものだったことで格好のネタになってしまったようだ。

男性から女性だけでなく、女性から男性へのパワハラも話題になるご時世だ。(©auremar-123RF)

男の議員ならパワハラは珍しくない

 実際、「そのような議員は男ならいっぱいいる」と発言した元官房長官(のちに発言を撤回)もいたが、政治家の世界では、秘書が政策を考えるアシスタント(この被害者の元秘書も国から政策立案のアドバイザーとして給料をもらっている政策秘書だった)というより、下僕のような扱いになっているのかもしれないという一連の騒動だった。

 私自身も豊田氏の心の問題などでいくつか取材を受けたし、またトラウマを研究分野の一つにしているので、パワハラやセクハラに関心を持ち続けている。このような明らかなパワハラを、本来パワハラをなくしていくべき担当省庁である厚生労働省のキャリアが行うのは残念なことだ。しかし、元官房長官の発言のように、政界内でのパワハラが珍しくないのであれば、そちらのほうがもっと問題だと感じる。

 それが事実かどうかはさておいて、女性の豊田議員でも秘書に暴言を吐いたとか、あるいは、そのせいで秘書が次々と辞めていく(豊田議員の場合、過去に百人も辞めているそうだ)というように報じられたことは確かだ。前横浜市長の中田宏氏は、早速この問題についてブログで、元外務大臣の田中真紀子氏の事務所の怒号を引き合いに出しているし、田中氏に関しては、秘書が次々と辞めていく週刊誌報道は何回か見たことがある。

 守秘義務があるから、かなりぼかして書くが、パワハラでPTSD(心的外傷後ストレス障害)のような状態になった、女性代議士の秘書のカウンセリングを私も行ったことがある。それは、今の時代にこんなことがあるのかと思うようなひどいパワハラだった。

 今回の豊田氏の事件を通じて、「力」で相手を支配しようという欲求が強いのは、男性だけの問題でなく、女性もある種の権力を持つとそうなってしまうのかと感じてしまいがちだ。権力を持つからそうなってしまったという側面は否定できないが、そうではなく、男性だって、女性だって、「力」ではなく「話し合い」で解決するタイプの人は珍しくない。結局は、「力」志向の人が男女を問わず政治家に立候補するから、こんなことが起こるのだという考え方もできる。