テロリストの狙いが狂った

 そう考えると、フランスでテロを起こす人たちというのは、国の弱体化を考えて行っているのだろう。フランスにとって、最大の外貨を稼いでいるのは観光産業である。GDPの7%を占める経済の支柱の一つだ。テロを起こすことで、世界の人々にパリへ行くのが怖いと思わせれば、それだけフランス経済に大打撃を与えることができる。

 もうテロをやらない代わりに、自分たちの要求を通せという取り引きが現実的だと思わせるくらいの脅威を与えることができるのだ。

 今回、選挙前にわざわざテロをやったのは、それ以上の遠謀があったのかもしれない。

 本来ならルペン氏のような強硬派がトップになるほうがテロリストにとって有り難くないはずだが、仮にルペン氏が当選すれば、フランスの経済はEU離脱などで失速する可能性もある。また、移民やイスラム教徒に強硬な政策を採れば、それだけイスラム教徒や移民に反政府的な人が増え、テロリストを志願する人も増えるという計算があったのかもしれない。そうでなければ、わざわざ選挙前に反動的な人に有利になるようなテロを起こすとは思えないのだ。

 テロリスト国家とされる北朝鮮にしても、同国との融和政策を推進するムン氏を歓迎するはずなのに、わざわざ選挙の直前にミサイルを何発も発射している。対北強硬派が大統領になったほうが、危機をあおり続けることができるし、軍部にとっては経済より軍事を優先するスタンスが続けやすくなる。軍事緊張が続くことで、韓国に対する投資が減り、敵国である韓国を弱体化させることができるという読みもあったのかもしれない。

 いろいろな意味で、テロリストにとっては(彼らから見て)ダメな人間が相手国の指導者に選ばれたほうが有利だ。その人間が自分に厳しいかどうかより、その人間がその国をダメにしてくれるかのほうが判断基準として上にくる可能性は十分あり得るだろう。