またギャンブル依存症についても、昨今、IR(統合型リゾート)実施法案を作るにあたって、依存症予防が論じられているが、現実には依存症になれと言わんばかりの現実が放置されている。

パチンコにスマホ、身近にあるリスク

 一般的に、依存行為であれ、依存性物質であれ、アクセスがしやすいほど危険とされる。だから、健全な為政者は、それへのアクセスが悪くなるように立法したり、規制したりしてきた。

 ギャンブルに関しては、人口密集地や大都市部から離れたところにカジノを作るのが原則である。たとえば米国ではラスベガス、中国ではマカオ、フランスではモナコにあるのはそのためだ。

 あるいは、毎日できると依存症になりやすいので、競馬や競輪のようなものは週に3回とか、毎日開催しないようになっている。

 ところがパチンコやパチスロ(もちろん換金できなければギャンブルでないのだが、同じ建物や入口の隣に景品交換所があるのだからギャンブルと言われても仕方ない)の場合は、非常にアクセスのいい場所にある上、毎日開催なのだから、依存症になりやすくて当然とも言える。

 実際、パチンコ人口は2016年には1000万人を切ったとされているが、うち536万人が厚生労働省の発表では依存症状態だと推定されている。実際、米国のギャンブル依存症者は人口の1%程度とされているから、いかに日本がギャンブル依存の多い国かがわかる。

 アクセスがよいほど、毎日やっているほど依存症になりやすいとすれば、肌身離さず持ち歩くスマホなどは最も危険と言える。スマホゲームを作る側も、利用者が「はまる」ことを狙っているし、様々なかたちでの刺激も強いため、依存症が大量に生まれてもおかしくない。多くの事故を誘発させた人気ゲーム「ポケモンGO」などは、依存症状態と呼ばれても仕方がない人が大量に生じて社会問題となった。

 実際に、各種統計によると何らかの依存症に陥っている日本人の割合は非常に高い。

 私が2013年に『「依存症」社会』という本を出した際に調べたデータでは、日本にアルコール依存症が230万人、ギャンブル依存症が536万人、ニコチン依存症が1487万人、インターネット依存が270万人いるという。これはスマホが今ほど普及していなかった時代だから、スマホ依存も合わせると500万人くらいになっているかもしれない。

 重複はあるにせよ、日本人の5人に1人くらいは何らかの依存症に陥っていながら、本人が気づかず、少しずつ進行していっていると考えられるのだ。

サバイバルのための三箇条

 マスコミが依存症を引き起こすスポンサーに忖度し、依存性の高いものが放置されている日本で、サバイバルのためにできることはおおむね3つある。

 1つ目は、「君子危うきに近づかず」で、依存性の高そうなもの(アルコール、タバコ、パチンコ、ネットゲーム)には手を出さないか、かなり厳しめにこれ以上はやらないという量を決めておくこと。

 2つ目は、物質や行為に依存しなくて済むように、依存できる人、つまり泣き付ける人や相談に乗ってくれる人をつくっておくこと。

 3つ目は、依存症という病気を認識し、少しでもその可能性があるなら(ネットでほとんどの依存症の診断基準は確認できる)専門医療機関に相談することだ。

 山口氏が今後どうなるかわからないが、依存症になった人間に厳しいこの国では、重度の依存症になってしまうと社会的生命を奪われかねない。本コラムを読んだ方だけでもその怖さをぜひ認識してもらいたい。