最も悪いのは“敵か味方か”などの「二分割思考」

 この認知療法において、最も良くないとされるのは「二分割思考」という考え方だ。“正義か悪か”、“敵か味方か”という二分割でものを見る思考パターンのことである。この手の思考パターンの持ち主は、友達と思っていた人が自分の批判をしたときに、「友達だからこそ警告してくれた」とは考えず、「味方から敵に変わった」と思ってしまう。

 当然気分の落ち込みを招きやすい。とくにまずいとされているのは、それに完全主義が加わった時だ。完全主義者というのは、合格点であっても満点でないと満足できない。さらに二分割思考が加わると、満点でなければ零点と同じということになってしまう。十分合格点をとっても、本人にとっては零点と同じわけだから、落ち込みの原因になってしまうのだ。

 また、そんな考え方では、合格点レベルになっても“もっともっと”を求めてしまうから、慢性的に過労に陥りがちになってしまう。相手にも満点を求めてしまうので、長所がある人に一つでもダメな点があると、ダメな奴というレッテルを貼ることにつながりかねない。それが人間関係を狭くしてしまうのだ。

 いい人か悪い人、いい仕事か悪い仕事という二択式で考えると、いい人の欠点や悪い人の長所に目が行きにくくなる。このビジネスは素晴らしいと思うと問題点が見えにくくなるし、ダメだと思われる仕事については将来性を切り捨てることにもつながる。

 認知療法のカウンセリングでは、患者の話を聞いて、この手の認知のゆがみや不適応思考を見つけると、「つい、いい悪いで判断してしまうのですね」と指摘したりする。少しずつでもそれが矯正されると、思考が柔軟になり、気分が落ち込んだり、不安でパニックになったりしにくくなるのだ。

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