ニュースの印象でなく確率論で制度を考えるべき

 日本は、統計数字よりニュースで法律が変わる、極めて感情的な国にみえる。飲酒死亡事故にしても、統計的には減り続けていたのに、福岡市の職員が起こしたセンセーショナルな事故がきっかけとなり、飲酒運転の厳罰化につながったという経緯がある。恐らくスマホ運転にしても、事故の数はかなり多いはずだが、ニュースの絵になるような事故が起こっていないから厳罰化されていないのだろう。あるいは、教育政策にしても学力低下や校内暴力の数という数字のデータより、ニュースになるような「いじめ自殺」(いじめが自殺の要因にはなり得るが、いじめだけが原因の自殺はまずないはずだ)の報道によって、教育政策が変わってしまう。

 そもそもニュースというのは珍しいことだからニュースになるのに、その出来事が制度変更のきっかけになるのは理解しがたい。本当に対策をしなければいけないのは、高い確率で起こることだろう。

 私が知りたいのは、むしろ自動車産業のプロの解説だ。実際、人口が高齢化しているのに交通死亡事故が減っているとすれば、その最大の要因は、自動車の性能の向上だろう。今の危険認識システムがどこまで進んでいるとか、自動運転がどの程度実用化しつつあるのかをきちんと解説してもらえれば、拙速に高齢者から免許を取り上げるより、その開発に期待するという考え方もあり得るはずだ。

 いずれにせよ、高齢者の運転免許の問題については、客観的な統計データに基づき、高齢者の生活への影響を冷静に検討したうえで判断すべきだろう。