昨年暮れからのニュースで気になることに、65歳以上の高齢者ドライバーによる交通事故報道がある。当たり前のことだが、超高齢社会というのは、高齢者の比率の多い社会ということである。毎年敬老の日にちなんで、総務省が高齢者の統計結果を発表しているが、2016年8月15日現在の高齢者数は3461万人で、人口に占める割合は27.3%となっている。

高齢者ドライバーによる運転事故は、ほかの年代と比べて本当に多いのか?(©PaylessImages-123RF)

高齢者の事故が増えたのは、単に高齢者比率が高まったから

 高齢者の事故が増えたという場合、人口が増えた以上に事故の割合が増えたのでなければ、高齢者が危ないということにはならないだろう。もちろん高齢者の免許保有率は、現役世代よりは低い。2014年の統計では、免許総数8207万人に対して、1639万人。それでも全免許保有者の20%は高齢者となっている。今はもう少しその割合が高いだろう。

 交通事故死者数が2016年はついに4000人を下回り、3904人になったとのことだが、高齢者のドライバーがその2割(約780人)であったとすれば、高齢ドライバーが現役世代より危険でなくても毎日2件以上は高齢者による死亡事故が起こってもおかしくない。

 しかし、ニュースで「今日もまた高齢者による死亡事故が起きました」と報じ、「しかも2件続けて」ということになれば、おそらく見た人のほとんどは、「やはり高齢者の運転は危ない」と感じ、「免許を返上させるべきだ」という話になるだろう。もちろん、統計数字を見れば分かるように、それは素人による印象論だからと言っていい。

 本来なら、ニュースの解説者やコメンテーターは、高齢者の割合が増えていることに伴って生じているのだと冷静な解説をすべきなのだが、日本では、特にテレビのコメンテーターと称する人が、そのまま「本当に怖いですね」と言ってしまうところがまさに異常としかいいようがない。