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 そのテレビの解説では、ネット右翼のような人は、むしろ積極的に投票行動をするとのことだった。某新保守政党の参院全国区の得票数プラスアルファで、200万人くらいいるのではと推定されていた。

 この仮説が正しいかどうかはわからない。私とは政治信条は違うが、こっちが正しくてネット右翼が間違っているというつもりはない。

 ただ、私が残念に思うのは、彼らが、自分が正しくて、自分と意見が違う人や、敵(韓国と中国と朝日新聞とそのテレビ番組では報じていた)は間違っているという発想パターンだ。

 認知科学の世界では、ものごとを決めつけるのは、ほかの可能性に対応できない不適応思考であるし、うつ病にもなりやすいとされている。

 恐らく政治や世論への影響力は、限局的なものだろうが、自分のメンタルヘルスや本業への悪影響を心配するのだ。

 中国政府が発表する経済指標は粉飾されていると信じるのはいいが、そうでない可能性も考えておく必要はあるし、人口統計まで粉飾しないだろう。今は米国経済に太刀打ちできないという考え方は妥当かもしれないが、中長期的に市場規模や国内総生産(GDP)が米国を抜き去る可能性の方が高いだろう。

 意地になって中国とは商売をやらないのは勝手だが、少なくとも答えは一つでない、将来変わるという発想がもてないと、どんなビジネスでもいつかは行き詰るだろう。

勝ち負けで考えない

 決めつけが激しいという認知構造を、さらに強固にしてしまうのが、勝ち負けで考えるという思考パターンだ。相手の言い分も「可能性がある」と認めることが負けだと考えるなら、いくら勉強しても、思考パターンは変えられなくなってしまう。私も昔とずいぶん考え方が変わってきたが、それを「変節」と呼ぶ人がいる。変わったら負けとでも思っているのだろう。

 直接のディスカッションでなら勝ち負けがあるかもしれないが(しかしながら論破では感情的反発が残るので、相手を説得できないことは、私が若いころ左翼運動に参加していたからわかる)、思考パターンに勝ち負けはない。どっちも可能性があると考えられる方が、勝てないかもしれないが、負けることはないのだ。

 少なくとも意地を張って、自分の意見を変えないことで得をするとは思えない。