NPBとMLBの年俸差は定説とは異なる

 これでもまだ、MLBと比較するには十分ではありません。MLBの平均年俸は通常はベンチ入り25名の平均を指す一方、日本の場合は1球団最大70名まで登録できる支配下選手すべてを対象としています。つまり、日本は2軍の選手、MLBの基準でいえばマイナーの選手も含めての平均年俸ということになります。2軍の選手を除けば、日本の平均年俸は前述した4575万円より上がるはずです。

 また、MLBのベンチ入り25名の選手の年俸総額は、大手メディアをはじめ無数のWebサイト(例えば「sportrac」はこちら)が毎日アップデートしています。ところが、日本のプロ野球を対象に同様の取り組みを行っているWebサイトは今のところありません。

 そこで、スポーツ・ビジネス業界では世界的に名高い調査会社スポーティング・インテリジェンス社が調査した2016年のNPB各球団の年俸上位30名(つまり計360名)の平均値80万530ドルで代用することとします。(ホームページはこちら、欧州サッカーから北米4大プロスポーツ、クリケットからJリーグまで、実に丹念に調べたデータが秀逸です)

 2016年の為替レートは平均で1ドル109円ですから、円換算すると8726万円。MLBの2016年のベンチ入り25名の平均年俸は438万7378ドルですから、円換算すると4億7742万円。その差は5.5倍となります。

 このところスポーツ・ビジネスの業界では、MLBとNPBの年俸格差は10倍というのが定説になっていましたが、そこまではないと言えるでしょう。しかし、その差が大きいことに違いはありません。

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