ギャンブル化でスポーツ産業は潤う

 私は、①世界のスポーツ・ギャンブルの現状、②ベンチマークである北米プロスポーツの動向、③日本のスポーツ振興予算が2020年以降は劇的に縮小し、自立が求められこと、④野球固有の事情として、少子化のペースを上回る若年競技人口の激減――などを考慮し、プロ野球もギャンブルの対象として認めることで、実利を得る現実路線に転換するほうがよいのではないかと思っています。

 ギャンブル市場の拡大は、露出の劇的な増大につながるのはもちろんのこと、試合結果を予想するデータビジネスの高度化が期待できるなど、産業としての発展を強く後押しすることになります。

 サッカーファンならば、スポーツ・ベッティングの本場であるイングランドにおいて、プレミアリーグを対象とした分析・予想の充実ぶりをお分かりの方も多いでしょう。各試合の勝敗、得点者、得点差、試合展開から警告と退場数やオウンゴールの有無、さらには各チームの監督の退任や有力選手の移籍など、予測に値するあらゆる賭けが用意されています。その分析のために、優秀な人々が分析・解析のためのツールの開発に躍起になっています。

 世界中の優秀な人が、証券・債券・金融派生商品の開発のために、ウォール街に集っているのと同じことです。カネが動くところにはヒトやモノが集まり、行き過ぎた市場主義のもとに様々な問題は生じるにしても、長い目で見れば業界として洗練されていくのだと思います。

 賭けに関しても、解禁することによって選手に闇の手が迫ったり、ギャンブル依存症の人が増えたりなど、様々な混乱が生じることでしょう。一方で、江戸末期の開国がその後の日本の発展の礎になったように、開放なくして成長なしといった考え方もあると思うのです。

 日本がベンチマークとしてきたアメリカでも、先に記したように、現実路線への方向転換が明らかになってきましたし、そこへもってきてトランプ新大統領です。彼はニュージャージー州のアトランティック・シティでカジノを経営していたこともあり、もともとギャンブル推進派とみられています。2月に行われたインタビューでは、「あらゆる関係者からヒアリングをしてからでないと答えようがない」と中立姿勢を強調しました。しかし、政権交代に伴う最優先事項が一段落したタイミングで、解禁に向けて動くという見方がもっぱらです。

 そのとき、日本はどうするのでしょうか。一連の八百長事件でいったん見送りとはなったものの、スポーツ行政の関係者の間では、スポーツ振興の切り札としてプロ野球のtotoへの参加が今も強く期待されています。アメリカでスポーツ・ギャンブルが解禁となれば、totoへの参加容認はもちろんのこと、カジノの解禁に歩調を合わせる形で、プロスポーツの試合が賭けの対象となる可能性が高まると私はみています。