ギャンブル化に消極的な日本のプロ野球

 こうしたなかで、我がニッポン。スポーツを対象とした賭けで合法なのは、競馬、競輪、競艇、オートレースなど、いわゆる公営ギャンブルのみに留まっています。ちなみにtotoは、サッカーの勝敗を対象とはしていますが、予想や推理が及ぶようなものではありませんから、宝くじの一種で、ギャンブルと呼べる類のものではないでしょう。つまり、ラスベガスを除く米国と同様に、スポーツ・ベッティングから距離を置いているというのが現状です。

 とりわけ、強い反対を表明しているのが、日本で最も大きなスポーツ興行であるプロ野球界です。プロ野球界はtotoに対しても、高潔性が汚されるとして、その対象となることに対して一貫して反対の立場を堅持してきました。賭けの対象となれば、八百長を誘発する可能性が高まり、健全な国民的娯楽としての地位が揺らぎかねないというのがその理由です。

 確かに野球界では、それが現実になった歴史があります。1970年前後に発覚した「黒い霧事件」です。プロ野球選手が金銭の授受を伴う八百長(敗退行為)に関与しました。この一連の疑惑は、中心選手が関与したとされる西鉄ライオンズの経営を行き詰まらせ、最終的には所沢への移転となるなど、プロ野球ビジネスの根幹を揺さぶる大スキャンダルになりました。

 こうした歴史が背景にありますので、政府から、「東京五輪の財源の捻出のために何とか頼みますよ」と懇願されても、「趣旨は分かるのですが~、歴史があり~」と渋っていたところ、2015~2016年にかけて一連の野球賭博事件が勃発しました。これで話は頓挫、今に至るというわけです。

 しかしながら、冒頭にも記しましたように、日本だけが世界の潮流とまったく無縁でいられるはずはないのです。