米国の人気大学にはプロ以上の稼ぎ頭も

 日本においては従来、競技種目別に組織される学生競技連盟が大学スポーツの運営の中心を担ってきました。しかし、その多くが学生主体の運営形態をとっており、専従の職員がいるケースはまれです。なぜかって、そんなおカネがないからです。また、学生競技連盟のなかには法人化されていない任意団体もたくさんあり、箱根駅伝を主催する関東学生陸上競技連盟もその一つです。

 任意団体とは、読んで字のごとく任意の団体で、活動をしていても、実際に契約などを行う場合に権利の主体にはなれません。このため、団体の構成員名義で契約を交わすことになります。また団体名義では財産を所有できないため、構成員の名義で所有します。我が国において屈指のスポーツイベントである箱根駅伝の主催者が任意団体という、このこと一つとっても、日本の大学スポーツ界はこれまでビジネス化に関心がなかったことがよく分かりますね。

 米国の大学スポーツの規模は巨大です。カンファレンス単位でホーム&アウェーでのリーグ戦が興行の中心で、NCAAディビジョンI に属する「SEC」(Southeastern Conference)など人気カンファレンスの所属大学は、収入トップのTexas A&Mを筆頭に、プロチーム以上の収入を得ているところもあります。

 花形競技であるアメリカンフットボールとバスケットボールの強豪校ともなると、監督は数百万ドルの年俸を得ています。例えば、Texas A&Mのアメフト部の監督の年俸は500万ドルです。

 むろん、日本版NCAAを作ったからといって、大学スポーツが一夜にしてカネのなる木に変身するわけではないでしょう。ビジネスはそんな甘いもんじゃありません。それでも、大学スポーツの振興を専門的に取り扱う組織ができ、各大学にも運動部を統括する部署ができることで、大学スポーツは間違いなく良い方向に向かうはずです。アメリカに負けない伝統と歴史に彩られたブランド力を持つリーグや大会もあるのですから、組織がしっかりして専門の職員を配置すれば、ビジネスとして徐々に成長していき、スポーツ振興と地域振興への貢献度を高めていくことになるでしょう。

 日本版NCAAの創設プロジェクトは、タスクフォースによる取りまとめが終了し、いよいよ組織体制の構築に入ります。