安倍政権は2016年の夏、閣議決定した成長戦略「日本再興戦略2016」において、スポーツを新たな有望成長市場に位置付け、スポーツ市場の規模を2015年時の推計5.5兆円から、2025年に15兆円にするという数値目標を掲げました。

そのなかの柱の一つに挙げられているのが大学スポーツの活性化です。実は私、政府の審議会「大学スポーツの振興に関する検討会議タスクフォース」(以下、タスクフォース)に座長として関わっておりまして、歴史と伝統に裏打ちされた大学スポーツの高い潜在能力をあらためて実感しているところです。
日本ではオリンピアンの3分の2が大学スポーツ出身者で占められるなど、わが国のスポーツの発展や競技力の向上に大きな役割を果たしてきました。また、箱根駅伝や東京六大学野球、ラグビー対抗戦など、歴史と伝統に彩られ、広く認知された大会もあります。
このように、産業化しようと思えば、そうするための材料は沢山あるものの、これまでは学生スポーツをビジネスにしようという機運はほとんどなく、部活動に留まっていました。「学生スポーツって、そういうものだろう」と言われれば、「まあそういうものかなあ」という気もします。実際、これまではそうやってきたのですが、ここに来て「なんとか産業化できないか」となったのは時代の要請でしょう。
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