これ以上の五輪建設予算の削減は困難か

 2013年9月に東京五輪の誘致に成功した際には、「お・も・て・な・し」の滝川クリステルを始め、あの猪瀬直樹都知事までもが国民的英雄としてもてはやされました。このところの市井の空気にあの熱狂はほとんど感じられませんが、いくら世界最大のスポーツイベントとはいえ、「2週間かそこらのために、兆単位のお金がかかるのはおかしい」というのは、市民としてまともな感覚でしょう。

 とはいえ、東京2020大会を決行するという前提に立つならば、今から建設費用をこれ以上節約することは難しいでしょう。東日本大震災などからの復興・復旧に加えて、国土強靭化のための全国的なインフラ整備による建設需要はこれからの数年がピークで、資材や人手が切迫するなか、建設コストは日本全国で高騰しています。五輪建設費用は、最新の見積もり額の1兆8000億円ではとても済まないでしょう。

 ただ、仮に3兆円かかったとしても、オリンピック開催費用としては常識の範囲内です。例えば、2008年の北京は4兆円、2014年のソチは5兆円かかりました。2012年のロンドンは、成熟した都市による、コストを抑えたコンパクトな五輪を標榜しました。具体的には、王室の儀式も行われる市内中心地の広場をビーチバレーの会場として使ったり、新体操やバドミントンなど6会場を別のエリアに移転したり、新設は全34会場のうち9会場に抑えるなどの工夫を凝らしました。それでも、招致時の予算7500億円に対して、実際の開催費用は2兆円を超えました。