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「世代格差」で片付かず

 一連の問題では、選手や被害者とされるサイドが、会見を開いてその主張を訴える手法が多く取られた。会見という形式を取らないと相手につぶされてしまう。その恐怖や心配が選手側にある。これは、その指導者の立場と権威が本人の思っている以上に大きく強固なものになっている証しだ。そのことを全く自覚していない言動も目立った。

 起こった問題をジェネレーションギャップで片づける気は毛頭ない。
 人生100年時代を想定すれば、60代などまだ後半戦を折り返したばかりだ。
 これを年齢のせいにしても問題は解決しない。老若男女を問わず、暴力的、あるいはパワハラ行為を働く指導者は存在する。

 指導者の本分は、どこにあるのか。
 こんな時は、先人の知恵を借りよう。
 我が生まれ故郷・新潟の偉人、連合艦隊司令長官 山本五十六の言葉である。

 やってみせ 言って聞かせて させてみて ほめてやらねば 人は動かじ

 話し合い 耳を傾け 承認し 任せてやらねば 人は育たず

 やっている 姿を感謝で見守って 信頼せねば 人は実らず

 これを軍人の言葉だから……と、それだけで嫌う向きもあるだろう。
 1884年(明治17年)生まれの山本五十六。古いということだけで一笑に付すこともできるだろう。
 しかし、考えていただきたい。
 これを軍国主義の真っ只中で唱える気骨と揺るぎない信念を。
 この言葉には時代に色あせない人間関係の本質がある。

 山本は、新潟・長岡の少年時代に米国宣教師の下で聖書を学んだという。
 海軍兵学校時代の座右の書は聖書だった。
 大正時代には、米国ハーバード大学に留学している。
 ヨーロッパの歴史や文化にも精通していた。
 大事なことは、科学的数学的であること……と言っている。
 そして第二次世界大戦の開戦には、最後の最後まで反対していた。
 私にとっての山本は、平和を愛する人間愛に満ちたリベラリストだ。

 不祥事が続いた今年のスポーツ界。
 山本の言葉が、問題解決のヒントに思えてならない。