プレー中にガムをかむ狙いも舌出しと同じ

 しかし、舌を出すことも、ガムをかむことも、リラックスした状態を作り出すための一つの手段であって、それをやること自体が目的ではない。なにもしなくても必要な状態を作れればもちろんそれでいいのだ。

 特に、子供たちの指導においては「舌」出すことを安易に勧められないのは、転んだりした時に舌をかんでしまう危険性があるからだ。だから基本的にはやらないほうが良いだろう。もし子供たちが試すなら、口元を緩めるというアドバイスが適切だ。これは十分に注意していただきたい。

 「舌出し打法」に取り組んでいる清田は、その手応えをこう語っている。

 「力まなければ、(タイミングが違って)肩が開いた後もバットが出るのを我慢できる。(これなら)粘れると思う」

 先日、埼玉西武ライオンズの「おかわり君」こと中村剛也選手に会った時に、打席での構え方(力の配分)を聞いた。

 すると彼は独特の表現でその状態を教えてくれた。

 「もうぐにゃぐにゃなくらいに力を抜いています」

 体に入れる力は「おかわり」するどころか、最初からご飯が盛られていない状態で立っているというのだ。

 スポーツでも仕事でも過度の緊張と力みは、本来の動き(仕事)を阻害する要素になってしまうことが多い。脱力やリラックスは、頼りなさそうに思えて実は最も重要な要素だ。

 アルベルト・アインシュタインの有名な写真に舌を大きく出したものがある。1951年3月14日、72歳の誕生日に撮影されたものだそうだ。「科学者もリラックスが大事だ」と偉大な物理学者が言った!、という話は聞いたことはないが、「笑ってください」というリクエストに応えてのポーズだという。

 執拗に追いかけるメディアを嫌って「舌を出した」という説もあるようだが、この写真を本人も気に入っていたというから悪意のものではないだろう。ポーズの意味が何であれ、舌を出すことでアインシュタインがジョーダンや内川のようにリラックスしていたことは確かだろう。