「団体追い抜き」で求められる日本的チームワーク

 その後、彼女は「どうやったらもっと速くなれるか、強くなれるか」をテーマに自身の滑りを追求してきた。強い推進力を求めて徹底的に下半身を鍛え上げる。その結果、滑る歩数(氷を蹴る回数)は減らしながらもスピードを上げるという、理想的なスケーティングを完成させる。そして今は、短距離の女王・小平奈緒(31歳 相沢病院)と並んで、日本のエースとしての活躍を見せている。

 「団体追い抜き」

 私がこの種目を好きなのは、日本的な文化がより発揮されるチーム戦だからだ。力のある人が風よけになって(空気抵抗を減らして)先頭を引っ張り、そのサポートを生かして、次なる人が持てる力を振り絞る。そして先頭を順番に替えながら、全員が一丸となってゴールに飛び込んでいく。速い人だけが一人勝ちするのではなく、その人の持つ力とスピードを全体の成績アップに還元していく。そうした考え方はスポーツの世界だけでなく、私たちの仕事においてもチーム運営や組織力の向上にヒントをくれるものだろう。

 周りに気を配りながらその関係性を良好に維持して、全員が持てる力を余すことなく発揮する。それがチームや組織のあるべき姿だ。

 日本チームには、カルガリーで世界記録を出した時のメンバー、菊池彩花選手(30歳 富士急)もいれば、1500メートルのスペシャリスト押切美沙紀選手(25歳 富士急)もいる。熾烈なメンバー争いも組織の活性化には欠かせない要素と言えるだろう。

 エースの高木美帆が言った。

 「平昌のリンクがどういう状態で、どういうことが想定できるかを予測して挑んでいきたい」

 好成績に浮かれることなく、冷静に先を見据えることもリーダーに求められる大事な資質だ。

 日本チームが今の自分たちを追い抜いた時、平昌五輪での活躍は間違いないだろう。