エース高木美帆の滑りを前面に
各チームは4人で構成され、レースごとに3人を選んで出場する。日本チームの大黒柱は、個人種目(1500メートル)でもメダルが期待される高木美帆選手(23歳 日体大助手)だ。彼女が先頭を多く滑り、他の選手の負担を軽減して、全員のスピードを上げるのが日本の必勝パターンになっている。
これまで日本チームは先頭交代を4回行ってきたが、今シーズンは3回に減らしている。先頭を交代する時のタイムロスは「約0.2秒」と言われている。それだけでも記録向上の要素が生まれているが、ソルトレークシティーではさらなる作戦に打って出た。先頭を滑る高木の距離を伸ばしたのだ。
以下はその周回数である。
【先頭】 | 【11月10日】 | 【12月8日】 |
---|---|---|
高木美帆 | 1.75 | 1.75 |
佐藤綾乃(22歳 高崎健康福祉大) | 1.5 | 1.0 |
高木菜那(25歳 日本電産サンキョー) | 1.5 | 1.5 |
高木美帆 | 1.25 | 1.75 |
最後の高木美帆の先頭を半周伸ばし、合計3周半を彼女に引っ張らせることで、そのスピードをチームとして生かす作戦に変更したのだ。これは高木美帆の走力があるからこそできる戦術だが、もし彼女がバテてしまって本来の力を出せなくなった時には、チーム全体がスピードを失う諸刃の剣だ。そのリスクの中で彼女は戦い続けている。
チームメイトの高木菜那は美帆の3歳上の姉であり、日本チームの息の合ったスケーティングは姉妹で滑っていることも大きな要因だろう。そしてもちろんお互いに支え合っている存在だ。
しかし、高木美帆をここまで大きく成長させたのは、やはり前回の2014年ソチ五輪の代表に選ばれなかったことだろう。
2010年バンクーバー五輪には15歳、史上最年少で出場。しかし成績は芳しくなかった。1000メートルが35位、1500メートルが23位。加えてソチ五輪で味わった落選という挫折。
悔しかったことだろう。
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