チーム首脳はコミュニケーション重視

 彼が招集したコーチ陣にもこうした稲葉色がよく出ている。

ヘッド兼打撃コーチ 金子誠(42歳)
投手コーチ 建山義紀(41歳)
バッテリーコーチ 村田善則(43歳)
内野守備走塁コーチ 井端弘和(42歳)
外野守備走塁コーチ 清水雅治(53歳)

 私はいずれのコーチも知っている。そこで誤解を恐れずに言えば、どのコーチも「クセのない人たち」である。派手さはないが実直な方々。この言い方は私の印象に過ぎないかもしれないので、違う表現を探すならば、それはどのコーチも「コミュニケーション能力」の高い人たちである。選手優先の立場に立って、どんな選手とも良好な関係が築けるコーチなのだ。

 こうした人たちを集めているところに稲葉監督の目指す「チーム作り」が見えてくる。

 そして稲葉監督自身もコミュニケーションの人だ。稲葉監督は、宮崎合宿が終わりチームが上京した際、トレーナーやマネージャーなど選手以外のチームスタッフ約20人を集めて会食を開いている。支払いはすべて監督のポケットマネーだったそうだ。

 プライドの醸成と良好なコミュニケーションが作る意思の疎通。稲葉監督がチーム運営において真っ先に打った手はそこだ。こうした手法、いや考え方(価値観)は多くの組織でも参考にできることだろう。

 それぞれの選手が自分の持ち味を十分に発揮する。くすぶっている選手がいたのでは勝てない。どうやってチームの力を最大限に引き出すか。そのための要素が「プライド」と「コミュニケーション」だ。

 たった3試合を戦っただけだが、稲葉監督の胴上げにはチームの喜びと、すでに出来上がっていた一体感がよく表れていた。