選手に求めたのは「マナー」と「品格」

 さて、「勝ち負け」の分析はスポーツメディアにお任せするとして、ここで触れておきたいのは稲葉監督のマネジメントの「妙」とコーチ陣の顔ぶれについてだ。

 今大会に備えて日本野球機構(NPB)の運営サイドは、事前の練習会場として関東近郊の球場を予定していたそうだ。ところが稲葉監督の希望によって、宮崎での合同合宿(5日間)に変更になったという。短期間とは言え、チーム全員での合宿生活。野球に専念できる環境で大会に向けての意識を高めることが狙いだったのだろう。

 また、宮崎での練習初日に彼が選手にお願いしたことは「グラウンドに唾を吐かない」ということと、試合で「相手選手をヤジらない」ということだった。

 代表選手を前にもちろん「ジャパンは勝たないといけない。勝利主義でいく」とも言っているが、これはどんな監督でも言うことだろう。それに加えて彼が強調したのは、「唾を吐かない」と「ヤジらない」ということ。求めたのは「マナー」と「品格」だ。

 これが何を意味するかの説明は難しいが、こうしたことを戒めることによって生まれてくるのが侍ジャパンとしての「プライド」だ。あるいは、日本代表に選ばれた選手は美しい日本野球の体現者でなければならない、という使命感を抱くことだろう。こうした思いを持って戦うことは、チームを必ず良い方向に導く。その信念が稲葉監督にはあるのだ。