
プロ野球の日本シリーズがいよいよ始まる。セ・リーグの覇者・広島東洋カープとパ・リーグ2位から勝ち上がってきた福岡ソフトバンクホークスが激突する。
どちらが勝つかは、「神のみぞ知る!」だが、今回の原稿の主旨からすると「広島が勝つ」と言わない訳にはいかないだろう。そこで勇気を出して、「広島が日本一になる」と言い切ってしまおう。
セ・パ両リーグのクライマックスシリーズ(CS)を観ていて印象に残るシーンはいくつもあった。今シーズン限りでの退任が決まっていた読売巨人軍・高橋由伸監督が吹っ切れたように思い切った選手起用に打って出たのも印象に残ったし、パ・リーグのチャンピオンになりながらソフトバンクに苦汁を飲まされた埼玉西武ライオンズ・辻発彦監督が悔しさのあまり泣いてしまったのも印象的だった。
東京ヤクルトスワローズを相手にノーヒットノーランを演じた巨人・菅野智之投手の快投も見応えがあったし、西武の栗山巧や山川穂高のチャンスに強いバッティングも見事だった。
しかし、ここで私が取り上げるのは、投手力や守備力、打撃や走塁といった技術的な観点からの話ではなく、人間関係から見えるチーム力、あるいは「ケミストリー(化学反応)」が生み出す結束力のある組織についてだ。
それを考えるきっかけになったのは、広島対巨人のCSファイナルステージ2戦目のことだ。1勝のアドバンテージに加えて初戦の勝利で広島が2勝0敗として迎えたこのゲーム。8回まで1対0でリードしていた巨人だったが、その裏の攻撃で広島が見事な逆転劇をやってのける。
2アウトランナー2塁で代打・新井貴浩が体勢を崩されながらもしぶとくレフト線に運び同点に。続く1番田中広輔が四球を選び、2番菊池涼介が勝ち越しの3ランをレフトスタンドに叩き込んだ。2アウト、ランナーなしの状態から4対1と逆転に成功。最後は抑えのエース・中﨑翔太が失点0点で締めくくって、広島がわずか3安打で4点を取って勝利を収めた。
この効率の良い攻撃にも広島の強さがよく出ているが、さらに印象に残ったのは、ゲーム後のヒーローインタビューだった。お立ち台に上がったのは、この日の打の立役者、新井と菊池だった。
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