目的は「難しい道具を使いこなすこと」ではない

 使うクラブやボールの変更は、トッププロの感覚的な世界なので特殊な話ではあるが、宮里プロが求めたのはひと言でいえば「易しい道具」と言えるだろう。

 ボールコンタクトに自信のあるプロ選手たちは、その扱いが難しい小さいヘッドを好む傾向があるが、宮里の選択はシンプルで易しい道具に回帰したのだ。

 こうした道具選びの傾向は、プロ野球でもある。バッティングの技術が高くなるとプロの選手たちは、細いバットを好む傾向にある。また同じようにグリップも細いものを使う。繊細な操作ができると同時に、手首の返りが良くなるからだ。しかし、これもアイアンのヘッドと同じで、小さくなればなるほど、その取り扱いが難しくなる。

 現・横浜DeNAのラミレス監督が巨人の現役時代に言っていたことがある。

 「日本の若い選手は、グリップの細いバットを使い過ぎる。もう少し太いバットを使えば、もっと楽に打てるのに…」

 グリップの太いバットは、スイングするというよりボールにバットを当てるという機能に優れている。つまりラミレス監督の指摘は、「シンプルにボールにバットを当てることを求めるべきだ」ということだった。こうしたバット選びは、巨人の主砲・坂本勇人選手らに影響を与えている。

 どんな道具を選ぶかは、スポーツや仕事によってさまざまだ。しかし腕が上がれば上がるほど、高度な難しい道具を使いこなすのが、どの道でも達人の証(あかし)と言えるだろう。しかし、求めることが難しい道具を使いこなすことではなくて、良い結果を出すことならば、よりシンプルな道具に帰るのも大事な選択肢と言えるだろう。

 宮里優作の選択は、クラブとボールというゴルファーにとっては極めて重要なアイテムの変更だが、それが意味しているのはより合理的にシンプルに戦おうとする原点回帰の姿勢と言えるだろう。

 彼が手にしたのは、実は「初心」ではないだろうか。