グランドでは選手の自主性に任せる

 では、横浜のラミレス監督はどうか?

 内野も外野も守ったラミレス監督だが、常にクリーンアップを打ってきた打撃の人だけに、やはり打者のバッティングを見るのが好きなのだろう。バッティングケージの後ろから練習を見ていることが多いが、実は彼が一番好む場所はベンチ裏のチームエリアだ。そこでゲームに関係するあらゆるデータを確認している。

 それは現役時代から変わらないスタイルだ。選手時代に親しまれた彼のパフォーマンス「カトちゃんぺッ」や「ゲッツ」も、テレビを何度も見たうえでの研究成果だ。ベネズエラ出身のラミレス監督は英語が母国語ではない。しかし、彼の早口の英語を聞いても頭の回転の速さが伝わってくる。

 競馬で言えば一見「馬なり」(馬の走る気に任せること)の野球のように映るが、その選手を送り出すまでにはデータを分析して、活躍の可能性が高い選手を大胆に起用する。そして送り出した以上は細かいことを言わず、選手の自主性に任せた野球を展開する。それはきっとラミレス監督自身が選手時代から求めていたスタイルだったのだろう。

 先の広島戦では、先発ローテンション投手の井納が中継ぎでマウンドに上がった。何が何でもこの試合でCSを決めるというスクランブル登板だ。その井納がCSを見据えて言った。

 「ここからは一発勝負。任された場所でプライドを持ってやりたい」

 どんなチームやグループでも自分たちのスタイルをしっかりと自覚して、そこにプライドを持っている組織が強い。常に変わらない自分たちのスタイルで戦い抜く。ラミレス監督が横浜にもたらしたものは選手たちの自信だ。