「8番にピッチャー」「スモールベースボールはやらない」

 今シーズンに横浜のラミレス監督がこだわってきたのは、ピッチャーを8番に置く打順だ。この打順を決めるきっかけになったのは、この日も3打数3安打4打点と野手顔負けの打撃を見せたウィーランドの存在がある。ここまでの打率も2割2分9厘と下位打線の打者と変わりない成績を残している。このウィーランドのバッティングを生かすにはどうしたらよいのか…という発想で生まれたのが8番にピッチャーを置く打順だった。

 しかし、ほとんどの野球解説者はこれに否定的だった。これにはちゃんとした論理がある。セオリーを考えれば9番打者より8番のほうがゲームの中で、わずかであっても打席が回ってくる確率が高い。それならば一般的に打率が低いピッチャーを9番に置いて、1番から8番までに野手を置く方が常識的な配置ということになるだろう。

 こうした考え方を根拠として、「8番ピッチャー」という打順に異を唱える解説者のコメントを今シーズンは何度も聞いた。しかし、ラミレス監督はこの意見に流されることはなかった。

 「いろいろな意見があるのは分かっている。でも私はこれが正しいと信じている」

 ラミレス監督が徹底したことは他にもある。「うちはスモールベースボールはやらない」と言い切る通り、盗塁や送りバント(犠打)が極端に少ない戦い方をしている。盗塁はセ・リーグ最少の39個。トップの広島は112個も走っている。また犠打もこれまたセ・リーグ最少の84個。最多の広島は116個記録している(上記は10月2日現在)。

 こうした戦術の違いは、レギュラー陣の顔ぶれと各選手の能力によって決まるものではあるが、ラミレス監督の野球はとにかく選手の力を信じて自由に打たすことに徹してきたのだ。