控えに回ったベテランに危機感

 若い選手たちが持つ躍動感は、こうした重圧(チームの命運)をまだ背負わないでいいところからきている。自分をアピールする。失敗を恐れずに攻撃的にプレーする。基本的に彼らに働いている心理は、重圧よりも喜びだ。活躍の場をもらえた喜びが彼らをより積極的にさせる。大胆な若手起用には、チームにそうした影響をもたらす効果がある。

 もちろん若さの持つ稚拙さや経験不足が災いする時もあるが、ベテランの保守性が思い切ったプレーを敬遠する危険性もあり、そこはいずれにしてもギャンブルだ。ハリルホジッチ監督は、若さの持つ意外性にかけたのだ。

 この試合で出場のなかった本田が言った。「自分に危機感を与えてくれることに感謝です。めちゃくちゃ悔しい思いをさせてくれる選手が出てきた」。本田が口にしたこうした思いこそ、ハリルホジッチ監督が狙ったことでもあるのだろう。

 会心のゲームを振り返ってハリルホジッチ監督は言った。

 「若い選手を信頼して使う。日本サッカーにとっていいことだったのでは」

 このゲームは、サッカー選手だけでなく若い世代への教訓だ。出番が来たら失敗を恐れず攻撃的にグイグイ行く。自分の持ち味を発揮して積極的にチャレンジする。そう、たとえ上手くいかなくても交代させられるだけなのだから。