怖いもの知らずの若手が大決戦で台頭

 試合当日、午前中は雨模様。芝生が濡れてパスサッカーの日本には、ボールが走る絶好の環境だった。22度という秋のような気温も、日本の選手たちにとっては体力の消耗を軽減する要素となった。大事な試合を戦う上で、いずれも日本にとっては好材料となったことだろう。

 しかし、戦術や勝因についての分析はサッカーメディアに任せよう。

 この試合で私の印象に残ったのは、ハリルホジッチ監督が見せた大胆な若手の起用だった。これまで日本代表の顔として活躍してきた本田圭佑(パチューカ)や香川真司(ドルトムント)、岡崎慎司(レスター・シティー)といった面々は先発メンバーから外れた。そうした選手たちに代わって出場したのが浅野であり井手口であり、乾貴士(SDエイバル)や大迫勇也(1FCケルン)だった。

 本田や香川はコンディションの問題もあったが、そうしたベテランに頼ることなくハリルホジッチ監督は、W杯出場のかかった大一番で22歳の浅野や21歳の井手口を思い切りよく使ってきたのだ。その2人が見事に期待に応えてゴールを決める。

 ここは「采配の妙」として監督を褒めるべきだろうが、考えたいのはこの若い2人が活躍する背景だ。もちろんそれは彼らのセンスと技術のたまものなのだが、2人に共通する要素は、「怖いもの知らずの若さ」を有していることだ。

 高校野球、夏の甲子園は終わったが、各県、各地域の予選でも甲子園のゲームでも、負けて泣いているのはいつも3年生だ。2年生や1年生が泣くことはない。3年生が泣くのは、その試合で高校野球が終わるからだ。すべてがその試合にかかっている。その思いが多くの場合、高校野球にドラマを生むのだが、言いたいことは3年生にはそれなりの重圧がかかるということだ。

 それに引き換え2年生や1年生は、自分たちの将来(活躍の場)はまだ先にある。自分たちはここで終わるわけではない…という思いが、泣けない理由であり、逆に言えば彼らが伸び伸びとプレーできる要因である。40年ほど前の話になるが、我々が高校球児だったころも1年生、2年生の時には泣くことはなかった。