内面に潜む攻撃性

 そしてこの日のピッチングを見て、改めて彼の本質を見た気がした。それは、飄々(ひょうひょう)としていながらも内面に潜む好戦的な姿勢だ。

 大谷は初回から全開だった。先頭のスプリンガーに投じた初球は時速155キロ。その後も150キロ台の速球を連発し、5番のホワイトにはこの日最速の159キロを投げている。2回も速球はほとんど150キロ台を記録した。3回、ランナーを1塁に置いてスプリンガーに甘いスライダーをレフトスタンドに運ばれて2点を失ったが、その後の2番アルテューベをセカンドゴロに打ち取ったところでマウンドを降りた。

 大谷は投球を振り返ってこう言っている。「思っている以上に緊張していたかな。勝手に出力が上がってしまった」

 どんな投手でも、試合のマウンドに上がれば、本気モードになってしまうのがピッチャーの本能と言えるだろう。予想以上の出力で投げてしまう。それは彼も復帰に向けた練習の段階から口にしていたことだ。

 「練習では大丈夫だが、試合になったどうなるか……。そこは実際に投げてみないと分からないところです」

 6月の当コラムでは「全力投球を封印せよ」と説いたが、1回、2回のピッチングでは、そんな気配はまったく感じられなかった。肘に不安がある中、これからは球威よりもコントロールと配球で相手を牛耳るピッチングに徹して欲しいと思ったからだ。そして、それが長く二刀流を続けていくための処方だと考えたからだ。

 しかし、マウンドに上がった大谷はこれまで通り、あるいはいつも以上に攻撃的な姿勢で相手打者に向かっていた。その好戦的な気持ちが何よりも良く表れていたのは、2回の先頭バッター、ゴンザレスを内野ゴロに抑えた時だった。