イギリス、グラスゴーで行われていたバドミントンの世界選手権。リオデジャネイロ五輪銅メダルの奥原希望選手(22歳、日本ユニシス)が、シングルスで男女通じて初となる金メダルを獲得した。決勝(2対1)で破った相手は、リオの準決勝で負けたシンドゥ・プサルラ選手(インド)。五輪の借りを世界選手権で返す見事な雪辱だった。

バドミントンの世界選手権で奥原希望選手(22歳、日本ユニシス)が、シングルスで男女通じて初となる金メダルを獲得した。(新華社/アフロ)
バドミントンの世界選手権で奥原希望選手(22歳、日本ユニシス)が、シングルスで男女通じて初となる金メダルを獲得した。(新華社/アフロ)

 奥原は五輪の後、右肩を負傷し、今年に入って実戦に復帰したばかりだった。身長はバドミントンの選手としては小柄といえる157センチしかない。しかし、決勝戦では抜群のスタミナを武器に我慢比べのような試合を制し、小柄であることをむしろ生かした。

 決勝の相手プルサルは身長179センチ。しかも高いジャンプ力を誇る選手。長身を生かしたジャンプスマッシュを何度も決められたが、奥原は要所で粘りに粘って逆転で勝利をつかんだ。

 準々決勝からの試合時間を見れば、奥原がいかに接戦に強いかが分かる。準々決勝が1時間33分。準決勝が1時間13分。プルサルとの決勝が1時間50分。

 一方のプルサルは準々決勝が39分。準決勝も48分で勝っている。それだけプルサルが強いとも言えるが、奥原との2時間近い決勝では完全にスタミナが切れていた。試合終盤ではコート上のゴミを拾う振りをして、休む時間を稼いでいたそうだ。そんな古典的な芝居をするほど疲れていたのだろう。度重なる遅延行為で審判から警告も受けていた。

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