周到な準備と具体的な対策

 全国から野球エリートを集めて練習漬けにすれば強いチームができるのは当たり前だというような批判が大阪桐蔭に対してあるのも確かだが、それだけで勝てるチームができるほど野球は簡単な競技ではない。ましてや多感な高校生たちに対して、そんな乱暴な指導法では彼らを伸ばすことはできない。

 大阪桐蔭のバッティングを見ていて気付かされるのは、すべての打者がしっかりとタイミングが取れていることだ。たとえ非力な選手でもタイミングさえ取れれば、スイングが生み出す力をボールに伝えることができる。

 聞けば大阪桐蔭の選手たちは、対戦する投手の映像を早朝から暇さえあれば見ているそうだ。その映像を見ながらタイミングを取る練習をする。そのイメージが出来上がっているので、試合でタイミングが遅れることがない。

 同様の準備は、豊富な投手陣の編成にもある。今回も柿木蓮投手(3年)、根尾昂選手(3年)の両名以外に高いレベルの投手を数名用意して、優勝戦までの戦いに備えていた。それは同時に暑さ対策であり、投手の球数対策でもある。

 猛暑の中での高校野球で心配されている点も、大阪桐蔭は抜かりない対策をいち早く打っているのだ。

 大阪桐蔭だけを手放しで褒めているわけではない。

 吉田投手を中心とした金足農業の快進撃は、確かに多くの人の琴線に触れるシンデレラストーリーだ。そこには愛される理由がしっかりある。みんなが彼らと一緒に夢を見たのだ。

 しかし、大阪桐蔭は現実と厳しく向き合い「その夢を叶えるにはどうしたらいいのか」を必死に考え続けてきたのだ。

 この大阪桐蔭をしっかり評価しなければ、高校野球のレベルは上がっていかないだろう。何事も、夢が原動力ならば、周到な準備と具体的な対策(練習)が現状を打破する推進力だ。

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