理不尽な仕打ちも成長機会に代える

 勝敗を超越したところに村田の感性がある。いや生き方というべきか。

 彼は、テレビのインタビューに答えてこんなことも言っていた。

 「僕にとって最悪の状況は、『何であれで村田が勝つんだ』という試合内容でチャンピオンになることだったんです。それを思えば試合の内容は良かった。半信半疑だった自分の実力に自信を持てる戦いができた。それはエンダムが素晴らしい選手だったから。だから彼にはお礼が言いたかったんです」

 こうした彼の発言から何を感じるかは、読者の方の置かれている立場や状況によってさまざまなのかもしれない。

 とにかく村田諒太という人がすごいのは、どんな理不尽な環境に置かれても受ける仕打ちをすべて自分を成長させる機会に代えてしまうことだろう。そしてどこまでも正々堂々と現実と向き合う態度を持っていることだ。

 たとえ負けても、もっと悪い最悪がある。

 たとえ勝っても、誇れない勝利がある。

 村田の態度に、負けてなお屈しない強く真っ当な生き方を見る。