両腕をダラリと下げて脱力投法

 ヒントをつかんだのは、先発予定の数日前の練習だった。100メートルほど離れて行った遠投でのキャッチボールが思わぬ効果をもたらしてくれた。

 遠くに投げようとすれば、力任せに投げてもうまくいかない。力を抜いて下半身の動きを上半身に連動させて、そしてできた大きな力を指先からボールに伝える。腕がしなるように使えることで、投げるボールが美しい回転で遠くまで飛んでいく。

 これをかなえるのは、無駄な力を抜くことだった。

 7月22日、ロッテ戦(ヤフオクドーム)のマウンドに上がった武田は、脱力をコンセプトに新たな投法で打者に向かっていった。プレートに右足を置くとそれまでは胸の前で構えていたグラブと右腕をズボンのベルトの下にダラリと下げて構えることにした。

 その狙いはこうだ。

 「ダラーンとやる気がないくらいに腕の位置を下げた。力を抜こうと」

 遠投でつかんだヒント(脱力)をマウンド上で実践したのだ。

 結果はすぐに出た。初回からストレートが走り、大きなカーブも切れのあるスライダーも蘇った。6回を投げて被安打1の8奪三振。6回に右足のふくらはぎがつって79球を投げたところでマウンドを降りたが、快心のピッチングで今季2勝目を挙げた。

 右足がつったのは暑さと体調の問題もあるだろうが、脱力したフォームがそれだけ足を有効に使っていたともいえるだろう。

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